きみがその本数に気付くまで/rt ページ44
鍵を差し込んでドアノブをガチャンと下げると鍵が開く仕様になっている扉を手慣れた手付きで開けて玄関の扉を開くと中は真っ暗だった。
「？」
今日は定時より少し早く上がれた上に家に帰るよりレトさんの家の方が近い。
つまりまだ夕暮れ時でほんのり明るい。
実写撮る時は真っ黒の遮光カーテンを閉めるけれど中から声は聞こえない。
まあ、いいや
今朝見たら冷蔵庫の中は空っぽだったし作り置きでもしてあげようと帰り際スーパーに立ち寄ってきたのだ。
出掛けているのならその間に作ってあげようと靴を揃えて部屋に足を踏み入れた。
リビングの戸を開けると突然パァン！と音が鳴り「うわぁ！？」と驚きの声をあげると懐中電灯を顎の下から当てたレトさんが「変な声〜」と言いながら近付いてきた。
「ホラーかな？」
そう言って懐中電灯を天井に向けさせるとレトさんはワクワクした声色で口を開く。
「思ったより早く帰ってきてドキドキしたやんか」
「違う意味でドキドキしたんだけど」
部屋の周りを見渡してから何で遮光カーテン閉めてるの？と聞こうとしたけどライターのカチカチ鳴る音がしてそちらに視線を移す。
あ。
「ケーキ？」
ぽかんと口を開けてると長く暗い場所にいたのかレトさんは目が慣れているらしく「あ〜」と不満な声を出した。
「その顔、俺が誕生日忘れてるとでも思ってたんやろ？」
「だって何か朝は軽いし、夜は呼び出したくせにすぐ寝ちゃうし」
どんどんと溢れてきた涙と不安を口から滑り落とすとふわっとレトさんの匂いに包まれた。
ぎゅと抱き締めて「驚いてくれるかな？っていろいろ考えたんやけど逆効果やったかな」と頭をぽんぽんと撫でてくれた。
「夜は……我慢した……そのAは仕事やし」
でも朝一番に俺が最初に誕生日おめでとうが言いたかっただけなんやと付け加えられると不安などどこかへ吹き飛んでしまった。
「でも今日は早い時間に帰ってきてくれたから……我慢せーへんよ？」
耳元で囁いたレトさんは「へへ」と笑うと私の手を取ってケーキの前まで移動した。
「俺が歌うの？」
「当たり前じゃん」
「しゃーないな、今日はお姫様のわがまま何でも聞いたる」
ケーキのロウソクを消すと柔らかな唇が落ちてきて悪戯心が芽生えた私が「何でもってほんと？じゃあ薔薇の花束ちょうだいよ」と言ってみた。
溜息を吐いたレトさんはどこからともなく出した花束を片手で差し出してきた。
「……台無しやん、気付くまで抱き潰してやる」
たとえば物語りじゃないとして/uszw→←きみがその本数に気付くまで/rt
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luco(プロフ) - パンださん» パンだ様、コメントありがとうございます！読者様の楽しみになれて嬉しいです。今後もマイペースになりますが頑張りますのでこれからもよろしくお願いします！ (2021年3月30日 2時) (
レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
パンだ - めちゃくちゃ面白くて楽しませて貰ってます！更新頑張って下さい！ (2021年3月28日 23時) (レス) id: 0ce8abb0bc (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - ららさん» らら様、コメントありがとうございます！lucoを知って頂いた上に全作品お読み頂けて嬉しいしかないです！微微調整しながら今後もマイペースに更新していくのでこれからもよろしくお願いします＼(^^)／ (2020年2月23日 1時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
らら - 最近、lucoさんの事を知って今めちゃめちゃハマってます、！！lucoさんが書かれた作品全部読ませて頂きました！！きゅんきゅんして幸せです！笑 これからも頑張ってください！応援してます！！ (2020年2月23日 1時) (レス) id: 55f78e88a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2020年2月11日 1時
