ずるいなんて今更/gtmn ページ16
大丈夫だって、と送り出すとビニル袋に入っていたらしい完全義理なチョコをくれた。
「紙袋なら持ってるってキヨに言っとけ」
朝の忙しない時間、普段ならこんなとこに来ないで職員室に直行だ。
バレンタインデーである今日、生徒に逆に呼び出されて現国準備室にいる俺はここ3年、ひとりの生徒に振り回されてばかりだ。
でもそれも今年で終わる。
「隠れてないで出ておいで、もう誰もいないから」
「さっきの子誰ですか……？」
俺に義理チョコをくれた彼女は2学年の清川と言う生徒に想いを寄せている生徒だった。
去年たまたまチョコを持ったまま昇降口で右往左往してる所を見掛けて「机にでも入れとけば」とアドバイスをあげたら鞄あったんで入れられました！と言っていた。
今年はどうしようと誰に聞いたのか俺の居場所を突き止めて相談しに来ていただけの生徒だ。
「大丈夫、彼女には他に本命がいるから」
「そうなんですか？」
机の上に置かれた義理チョコは明らかにコンビニで購入したのがわかるものでそれを見ると少しだけ安心したのか微笑みを携えて鞄から青いリボンのかかった箱を両手で渡してきた。
「……これは義理にしない？」
「しません、今年は最後……かもしれないし」
俺を呼び出したAと言う3学年の生徒は1学年からずっと俺にチョコレートケーキを焼いてくる。
本命だと言い張る彼女に俺は毎年「本命なら受け取れないけど義理なら受け取れる」とずるいことを言って受け取っている。
「うーん」
「可能性ないなら毎年律儀にホワイトデーなんかくれないで無視してくれれば良かったのに……何でそういうことするの」
これから未来がある生徒だ、一時の気の迷いと言うこともあるかもしれない。
高校生なんて禁断の恋とやら、乗り越える壁が高いほど燃え上がる年頃だろう。
ただ、ホワイトデーを律儀に返すあたりで気付いて欲しい。
俺がAを誰にも渡さないと密かに想ってることを。
「Aは進学だろ」
「……そうですけど」
「こんなおっさんなんかよりこれから若いイケメンな男とたくさん出会う訳だけど」
俺は差し出された箱を掴んでそのまま座ってた椅子から立ち上がり眼鏡を外して机の上に置いた。
「俺だけ愛し続ける覚悟はあんの？」
「……ガッチ先生」
目尻に光る雫を人差し指で拭ってから笑いかけた。
「これは受け取る、本当に覚悟があるならあと約1ヶ月後卒業証書持ってここに来なさい」
☆
VD!
ここはひとつ助太刀致す！/uszw→←手紙付きのチョコレート/ky
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luco(プロフ) - パンださん» パンだ様、コメントありがとうございます！読者様の楽しみになれて嬉しいです。今後もマイペースになりますが頑張りますのでこれからもよろしくお願いします！ (2021年3月30日 2時) (
レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
パンだ - めちゃくちゃ面白くて楽しませて貰ってます！更新頑張って下さい！ (2021年3月28日 23時) (レス) id: 0ce8abb0bc (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - ららさん» らら様、コメントありがとうございます！lucoを知って頂いた上に全作品お読み頂けて嬉しいしかないです！微微調整しながら今後もマイペースに更新していくのでこれからもよろしくお願いします＼(^^)／ (2020年2月23日 1時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
らら - 最近、lucoさんの事を知って今めちゃめちゃハマってます、！！lucoさんが書かれた作品全部読ませて頂きました！！きゅんきゅんして幸せです！笑 これからも頑張ってください！応援してます！！ (2020年2月23日 1時) (レス) id: 55f78e88a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2020年2月11日 1時
