光の様な救い ページ10
「大丈夫ですか？！」
質問に質問で返されて怪訝な顔をすると口元あたりを指差された。
指を辿り唇の端を触ると血が指に付着した。
あいっつ、どんだけ手加減なしでぶっ叩いてんだよ。
「これは……」
違うからと言いかけて喉元から言葉が出なかったのはミニタオルみたいなのを差し出されたからだった。
さすがに見ず知らずの人の持ち物で自分の血を拭くというのには抵抗があり「いいからほっとけ」と振り払うと目元にミニタオルを押し付けられた。
お姉さんは一言も発さず「ん！」とだけ言っていた。
強引に押し付けられた反動でミニタオルを受け取ると鞄からペットボトルの水とティッシュを取り出し水分を含ませたティッシュで切れてる唇の血を拭き取ってくれた。
「微妙なとこですね」
それだけ言って絆創膏を手渡してくれた。
「涙拭けました？今日はいい天気ですから心が曇り空なのはもったいないですよ？」
ドヤ顔で言ってきたくせに首元に下げられた一昔前のガラケーに掛かってきた電話からは怒鳴り声が聞こえた。
今度はしょぼんとなって謝りながら電話なのに頭をぺこぺこし始めた。
肩をとんとんと叩くとテンパってあたふたし始めてその様子がちょっと面白くて唇がピリッと傷んだ。
あー……俺今笑ったんだ。
電話が終わったらしいお姉さんは俺を見ると「あ！ちょっと回復しました？笑顔の方がお兄さんはかっこいいです！」と怒られてしょんぼりしてたくせに満開笑顔で言ってくれた。
俺のこと知ってるのか、知らないのか、いつも女に会うときはそんなことばっかり気にしていたけどそんなことはどうでも良かった。
泣いてる態度悪い男なんて無視したり逃げ出せることも出来た。
お人好しなのか性格なのか無償の優しさを与えることが出来るこの子なら……
「ぶつかっちゃってすみませんでした、怒られてるんでもう行きますね！」
「……名前、教えて貰えますか？」
それまで無愛想だった俺が敬語になったのに驚いたのか一瞬キョトンとしたけどすぐにふわっと笑ってくれた顔がやけに安心出来た。
「あ！わたし今日名刺貰ったんですよ！」
嬉しそうにわたわたと鞄から名刺入れを出したお姉さんは一枚名刺を取り出し俺に向かった。
「あれ、どう渡すんだったけ……」
「あっはは、俺もわかんねぇから普通でいいですよ」
名刺を受け取った後に背中をバンッと叩かれた。
「元気出し〜！」
心の闇から救い出してくれた光のような人だった。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なみの - えっ！？返信ありがとうございます・・過去作なので返して頂けるとは思ってませんでした。 (11月5日 13時) (
レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - なみのさん» コメントありがとうございます。ヤンデレと言うより情緒不安定なだけのメンヘラになっちゃったような気もするのですが…エモ感じて頂けて何よりです！ (11月2日 8時) (レス) id: 4134a90f62 (このIDを非表示/違反報告)
なみの - ヤンデレキヨさん最高でした。エモ過ぎて泣いちゃった・・・ (10月15日 3時) (レス) @page50 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
なみの - 末永くお幸せにいいいいいいい((殴 (10月15日 3時) (レス) @page50 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» コメント通知が死んでいて気付かずレスがかなり遅くなり申し訳ありません。感想コメントとても嬉しかったです。後半ネタばらしは最初から決めていたのですが私も書いてて楽しかったです。私がメンヘラヨさんを書くにあたって気にした点を全て気付いてくださり嬉しいです (2022年10月2日 22時) (レス) id: 4134a90f62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年10月14日 7時
