��こんなこと�� ページ37
にこやかに手を振る2人が見えなくなった瞬間、外からガチャンと鍵が閉まる音がした。
もうここは向き合うしかない。
密室になった部屋はやはり少し蒸し暑い。
頭を壁にもたれかけるとご丁寧に短い廊下に設置されたであろう電気スイッチが押される形になった。
突如の電気点灯に驚いただろうAちゃんが目前にいると思ったけどAちゃんは廊下を突き進みドアを開けてテキパキとクーラーのリモコンを手に取りスイッチを押していた。
深呼吸をすると肩が震えた。
「……ダサ」と自分にだけ聞こえる声で呟いて廊下の電気を消してAちゃんがいる部屋へと足を踏み入れた。
可愛らしいクッションが並べられているソファには座らず、その前に置かれた丸テーブルを挟むように座った俺とAちゃんの間には重苦しい空気が流れ始めた。
「……怒ってますか？」
その沈黙を破ったのはAちゃんだった。
俺は小さく溜息を吐くと「怒ってない、逆にAちゃんが怒ったからこんなことしたんじゃないん？」と遠回しな表現をした。
��こんなこと��にはたくさんのことが含まれてる。
例えば、知らないとこへ行ったり知らない店に不用意に入るのはやめた方がいいと助言したのを無視して過呼吸に陥ったこと。
例えば、俺のLINEを無視したこと。
例えば、俺に会いたくないと見ず知らずの他人に漏らしたこと。
LINEなんて気付かなければ無視にはならんし、知らないとこへ行ったり知らない店に入るのだってAちゃんの自由だ。
俺がどこまで知っていて、何に対して不満を抱いてるのかを事細かに伝えないのは狡い行為だと自覚している。
けど、こんな小さいことで不機嫌になっていることを知られたくなかった。
それでも不満を持っていて不機嫌だと言うことは顔に出す、何てめんどくさい男だ。
これ俗に言うメンヘラ的なとこがあるのか？
Aちゃんは「こんなこと……」と呟くと頭の中を整理してるのか俯き加減に頭を捻っていた。
「そうですね、ケーキ屋に入ったのは軽率な行為だとは思っています」
雑貨屋さんに見えたもので……とご丁寧に言い訳を付け足すと「キヨさんとは顔見知り程度でしたが、中心的になって助けてくれたのは彼女でしたので……」
俯いていた顔をすっとあげて俺の顔を見るAちゃんは嬉しそうな顔をしていた。
「同性の友達が少ないわたしにとって彼女は光のような存在で、少し弱音を漏らしたのも事実です」
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luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» ずっと温めてきた作品だけに思い入れが強いので真っ直ぐに作品を読んで褒めて頂けて感無量です…！彼だからこの結末になって彼だからこその作品になった気がします。とp4の関係性が大好きなので気を遣って書いたので気に入って貰えて良かったです！ (2021年8月18日 0時) (
レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - 普段常識人だからこそこういう禁断の恋一歩手前のレトさんが凄く輝いている気がしました。lucoさんの人選が流石過ぎます。今回の世界線はそれぞれの立場が切な過ぎて胸痛いです。その分報われて感動でした! それに今回は特にtop4の関係性が見えて最高でした! (2021年8月9日 3時) (レス) id: d5158b45c8 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - ゆりさん» ゆり様コメントありがとうございます！感情直球とっても嬉しいです！！読んで頂けて本当に感謝です（；_；） (2019年10月11日 11時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - すごくすごく好きです。お疲れ様です！ありがとうございます！！ (2019年10月11日 10時) (レス) id: 284b51d183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年3月8日 1時
