好きの理由なんてそんなもん ページ20
帰って来た……てことだよな？
レトさんにしては俊敏な反応だったし俺をここに残すってことは会わせたくないとかそういうやつか？
ここは意思を組んでここでジッとしとくのが得策かもしんない。
俺はここに来る途中に寄って買ってきたチョコに手を伸ばそうとした時だった。
ドアが開けられる音と共に「……あ、こんにちは、はじめまして」と声が聞こえてきた。
反射的にバッと振り返ると見るからに大人っぽい女が立ってた。
「あ、ちわ」
「いつも動画見てます、応援してます」
「……ども」
何か普通の視聴者みたいな言葉を言われて俺が怪訝な表情を浮かべると、わかりやすく困った様に笑った。
嘘くさい笑顔だった。
これならAの営業用スマイルの方が何億倍もマシと言うか、まー、あれは仕事だから、種類がちげぇか。
その後、一言二言交わしてからレトさんに促されるように部屋を出てった。
「挨拶したいって言うから」
戻ってきたレトさんにいつも以上、いや、もっと、わざとレトさんにしか聞こえないような声を低く小さく発した。
「……どこが好きなわけ？あんなんただの視聴者と変わんねえじゃん」
レトさんはキョトンとした顔をすると、少し眉を下げてへらっと笑った。
「キヨくんはその子と、どういう経緯があって、こんな理由があって好きですって胸張って言えんの？」
俺は言葉に詰まった。
好きなとこはたくさんあれど、経緯なんてほぼないに等しい。
ただ何かどっかで見たことある顔、声ってだけで気になった、それだけだった。
「俺は別にそんなんなくたっていいと思う、好きな理由なんてどれだけ並べたってどうせ全部後付けやん」
「そ、れはわかる」
その後、レトさんは猫みたいな伸びをして「どうする？続ける？」と聞いてきた。
「何か負けた気がすっから、あとちょっと撮ってゲームでボコボコにするわ」
「は？何がやねん！俺がいつもいつも負けると思ったら大間違いやぞ」
結局はボコボコにしたけど、違う意味で来てよかった。
スッキリした。
帰り際、レトさんの女は驚くことにめちゃめちゃ美味そうな飯を作っていた。
レトさん曰く「夕飯だけは一緒に食う約束してんねん」らしい。
一緒に食ってく？と誘われたけど頭に叩き込んだシフト表を思い出して遠慮した。
駅からホテルまでの道のりを歩いてるとやけに早足で歩くAを見つけた。
ラッキー！でもちょっと時間的に早くないか？
「とろろごはんちゃん♡」
そう呼びかけて両肩を掴んだ。
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なみの - とっても面白いですね( ´∀｀)相変わらずの天才っぷり・・さすがです！毎回素敵なお話ありがとうございます(≧∀≦) (11月5日 13時) (
レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - 赤の黒犬さん» これは完全に動画内のヨさんのテンションで書いてたので反応どうかなと思っていたので好きと言って頂けて良かったです。たくさんの作品にコメント本当にありがとうございます。レスが遅くなりましたが毎回見て元気を貰ってます！ (2021年8月18日 0時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - キヨさんの嫉妬とか御馳走様過ぎる。キヨさんが元々レトさんに憧れていた節があったからこそキヨさんの嫉妬って映えると思ってニヤニヤしてました。キヨさんがドルヲタとか女優ヲタとして動画内で喋っているテンションで恋して、本人っぽさが倍増するのも好きです。 (2021年8月9日 2時) (レス) id: d5158b45c8 (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - siratama〇さん» siratama〇様、コメントありがとうございます！初の学パロ以外での長編ですので読者の方の反応が気になっていたのですが好みと言って下さりとても安心しました。そして長編に対しての励ましのお言葉もありがとうございます！とても嬉しいです。頑張ります！ (2019年3月9日 22時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
siratama〇(プロフ) - 好みof好みです。長編苦手だと仰りますが胸を張って得意だと叫べるレベルで素晴らしいです。素敵なお話ばかりで読むのが楽しみの１つになっています。ずっと応援しております、頑張って下さい！ (2019年3月9日 20時) (レス) id: 1503b2e324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2019年3月7日 1時
