rainにかき消されるなら-1- ページ23
その後の記憶はほとんどない。
望月さんと話を少しした気がしたけれど、会話の内容も覚えていない。
ぼやけていた視界が涙のせいだと気付いたのは外に出て初めて綺麗な夕焼けが光っていたからだと思う。
心はどんより曇り空なのに、酷いなあ、とただそんなことを考えていた。
現実を直視するには、心のキャパシティが間に合わなかった。
それでも少ししか涙が出なかったのは何でだろう。
でもきっと安心する人の顔、ママとか、愛菜とか、はんちゃんとか、見たら号泣しそう。
そう思うとどうしても帰れなくて学校の近くの公園でブランコに乗ったままでいたら、陽も暮れ始めて大きな満月が光っていた。
「……綺麗だなあ」
帰りの電車に乗っていたら何故かどんどん悲しくなってきた。
急だな、何でだ、と自分でも焦ったけど見慣れた座席、見慣れた景色。
いつも家まで送ってくれる時に隣にキヨ先生が居た。
じわじわと涙腺が緩む。
静かな電車の中、泣く訳にも行かなくてタオルを顔に押し付けて声を押し殺して涙を流した。
わかってたことじゃん、彼女がいたことなんて。
それなのに、何でこんなに悲しいんだろう、辛いんだろう、苦しいんだろう。
はあ、と大きな溜息を吐いて人も疎らな改札を抜けると大雨が降ってた。
「マジかー、気付かなかった」
でも、今日は濡れて帰りたい気分だった。
濡れて帰れば雨か涙かわからない。
ママを見て泣いてもバレないだろう。
そっと足を踏み出すと雨が身体に当たって「つめたっ」と声が出た。
季節は夏と言っても過言じゃないのに雨は冷たい。
……ツイてない。
今日はとことんツイてない、こんなにツイてないなんて朝の占いはそんなこと言ってなかった。
駅の構内には誰も居なくなっていた。
「……辛いな」
そう呟いて蹲った時だった。
傘が雨に当たる音がした。
足音に気付いて下を向いて瞑っていた目を開けると誰かの靴がわたしの前に来るとピタッと止まった。
驚いて顔を上げた。
「……何やってんの？」
声が出なかった。
そこには眉を下げて優しく笑う、キヨ先生が傘を持って立っていた。
「な、何で……」
「こんな時間まで何やってたの？自習？Aが？随分真面目じゃん」
軽口を叩きながら腕を掴まれ立たされた。
頭が痛い、息がうまく吸えない、涙がとめどなく溢れてきた。
わたしはキッとキヨ先生を涙目で睨むと、掴まれてた腕を振り払った。
目の前のキヨ先生はキョトンとした顔をして首を傾げた。
「……は？泣いてんの？」
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なみの - 返信ありがとうございます！まだ占いツクールやってるみたいで嬉しい(？)です。これからも応援しております・・！ (11月5日 13時) (
レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - なみのさん» お返事遅くなりすみません。コメントありがとうございます！お友達の神絵師に表紙頂いちゃいました…！背景に全ての要素入れて貰ったので併せて見て頂けると嬉しいです。かっこいいヨさん目指してたので伝わってて良かったです。 (11月2日 8時) (レス) id: 4134a90f62 (このIDを非表示/違反報告)
なみの - 最初の絵、背景に色々描いてあったけどちゃんと要素入ってたんですね！細かい、、 (10月14日 19時) (レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
なみの - 見ました・・・泣いちゃった・・・純愛っていいね。キヨさんかっこよすぎるよ、、、 (10月14日 19時) (レス) @page50 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
なみの - ぎゃっ話まだ見てないけど神絵師様じゃないですか！！ (10月14日 14時) (レス) id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：luco
| 作成日時：2018年9月26日 3時
