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「あ、横山課長。
こちら、デザイナーの梁さんです。」
「梁ゆりです、お世話になっております…！」
「おーおー、例の小瀧の！」
沖田さんが紹介してくれて挨拶する。
横山さんの気さくなリアクションはいいんだけど、小瀧“の”って…ちょっと笑った。
「あいつ、マーケ行ってから調子ええから、梁さんが持ってるんやろうな！」
やはり営業の人たちは人を褒めるのがうまくて恐縮してしまう。
「そんなことないですよ…」
「いや、小瀧が“SAIHI”のプロジェクトメンバーにって声かかってるらしいからなあ。こら確定やで。」
「小瀧さんが…？うそ、凄い！」
横山さんが何気なく発した言葉に驚く。
SAIHIといえば、西緋の中でも最高位ブランドで、社内でも選び抜かれた人たちが携わるものだ。
いつか小瀧さんもあんな仕事がしてみたいと言っていた。
こんなに早く叶っちゃうなんて凄い…！
「そしたら、あいつも海外転勤やな〜」
浮かれていたわたしの耳に、横山さんの放った信じがたい言葉が飛び込んできた。
「えっ…」
「ちょ、横山課長っ」
沖田さんが制したのもお構いなしに、なおも話し続ける横山さん。
わたしは、ほとんど放心しながら聞いていた。
「SAIHIのPJメンバーはな、皆上海やパリ支社で鳴らしてきた先鋭ばかりなんですわ。
最近PJに入った開発のやつはパリに移動してったから、小瀧は上海やな〜って、みんな噂しとるんすわ。」
急展開すぎて、頭がついてこない。
小瀧さんが、海外に行っちゃう…？
「ちょっと課長！余計なこと言わないの！」
固まってしまったわたしを気遣うように、沖田さんが横山さんをたしなめて言った。
「梁さん、まだ決まった話じゃないですし、気にしないでください。
これからも、小瀧のことお願いしますね。」
足元で地面ががらがらと崩れ落ちる衝撃とも違う
寝耳に水のような窮迫性もなかったが
踏みしめた砂浜の砂がさらさらと波にさらわれていくのを、裸足で感じるような
薄皮を確実に剥いでいくような喪失感だった。
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るーちょ(プロフ) - まっちゃさん» コメントありがとうございます！応援いただきとても励みになります(T-T)最終話までぜひお付き合いください。 (2019年7月19日 20時) (
レス) id: 5adc9338ef (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - とても面白いです！ 応援してます！ (2019年7月19日 6時) (レス) id: 622cccb941 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Lucio | 作成日時：2019年7月8日 18時
