第18話 ページ13
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月曜の朝は憂鬱だ。
正確には、月曜の朝も夜も憂鬱。
金曜日に終えた仕事の荒とかミスがぽろっと現れたりするから、怖いのなんの。
「せんぱい、おはよです。」
「おはよー廉くん。」
今日のスケジュールを確認すると、発注書の納期には、本日の日付のものが2点。
PCのスイッチを入れてソフトを立ち上げる。
「みんなー!ちょっと来て来てきて!!」
朝からテンションの高い今井様が、制作室に転がるように駆け込んできた。
「なんすか!?」
「いーから廉くんもゆりちゃんも!
そこの重岡くん叩き起こしてこっちきて!」
急かされて、デスクに突っ伏していたしげちゃんを起こして後を追う。
先導されたのはおなじみの仮眠室兼資料室。
「じゃーん!」
今井様がドアを開けた先にはなんと、新品のベッドマットレス。
「どうしたんですかこれ!」
「なんかー、社長が商店街の福引で当てたらしいで」
「あの人ほんま強運やなー!」
朝からベッドの搬入を手伝っていたらしい淳太さんと桐山さんが答える。
自分じゃ使わないからって、ウチにくれたんだとか。
「というわけで制作陣のみんな、今日は社長室の方角に手を合わせてから仕事してね!」
「「「はーーーい」」」
「分かったら制作班、ミーティングすんでー」
淳太さんの呼びかけにぞろぞろと仮眠室を出て行くデザイナー陣。
わたしもその列に続いて出て行こうとすると
ガシッ
今井様に腕を引っ張られて、わたしの目の前でパタンと部屋のドアが閉ざされた。
「ゆりちゃんは、ちょっと」
「へ?」
「土曜日のこと、洗いざらい報告してもらう!」
___土曜日のこと。
思い出した瞬間、顔がかっと熱くなるのを感じる。
「今井様…どうしましょう〜〜」
両手で頬をおさえて、その場にへなへなとしゃがみこんでしまった。
「わたし、小瀧さんに、すきっていわれた」
「えぇ!?」
「んで多分、キス、もされた」
「きゃー!急展開じゃん!!
もちろん、OKしたんでしょ!?」
「してない」
「え…なんで…?」
「どうしたらいいか、わかんなくて」
「だって、酔った勢いとかだったら、どうしよう」
「うれしいのに、どうしたらいいかわからない…」
うずくまって両膝に顔を埋めたわたしの、
丸まった背中を、今井様がしばらくさすってくれていた。
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るーちょ(プロフ) - まっちゃさん» コメントありがとうございます!応援いただきとても励みになります(T-T)最終話までぜひお付き合いください。 (2019年7月19日 20時) (レス) id: 5adc9338ef (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - とても面白いです! 応援してます! (2019年7月19日 6時) (レス) id: 622cccb941 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lucio | 作成日時:2019年7月8日 18時