第15話 ページ2
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難航するかに思われた、アルコイーリスの5周年記念広告も、なんとか山場を越えた。
梁さんが完成度の高い初校をいくつか出してくれたことで、うまく社長とFIXできた。
各新聞社による、原稿の考察が終われば、ようやく最終フェーズに取りかかれるというところ。
「小瀧、ここまでようやったな。お疲れ!」
「いきなりで大変だったねー」
「や!俺なんて大したことしてないっすから!」
村上課長や先輩に口々に褒められて恐縮してしまう。
だって梁さんのおかげだから。
「いいなあ、梁さんって、メーキャップコスメも依頼できないかなぁ?」
メーキャップ化粧品を担当している木原さんが言う。
「だめっすよ!梁さんただでさえ多忙なんすから。
とっちゃダメです。」
「なによお。べつに小瀧くんのものじゃないじゃん」
ぐぬぬ…
そうやけど!
「でもダメなんですー!」
「ケチー!」
「おまえら遊んでへんと仕事しいや」
村上課長に怒られたので一時休戦とする。
デスクに戻ると、ちょうど俺の内線が鳴った。
「はい小瀧です」
『受付の田村です。梁さんがお届けものにいらっしゃってます』
「!!
すぐ行きますっっ」
なんともタイムリーに梁さんの来訪の知らせだ。
普通お届けものなんかは、受付に預けるだけのことも多いが、
田村さんに念入りに言っておいた。
梁さんが来たら俺を呼んでくださいと。
ぜったに呼んでくださいと。
しつこく言うんで、田村さん、若干引いてた。
ダッシュで下まで下りてロビーを見渡す。
傍らのテーブルセットに座っていたのは、見紛うはずもないその人。
「梁さん!」
「あ、小瀧さん。お世話になります。
meanポスターの色見本、お持ちしました。」
俺が駆け寄ると椅子から立ち上がってペコリとお辞儀する梁さん。
大きなポスターケースを両手で抱えている姿は、
ミスマッチでめっちゃ可愛い。
「すいません。お忙しいでしょ。」
「いえいえ!そんなことないですよ!」
「ほかの担当者も、梁さんに発注したいーなんて言い出すし…」
「ほんとですか?まいどありでーす」
「どんだけっすか?(笑)」
冗談を言って笑っている梁さんだが、その顔はさすがに疲れている様子だ。
「あの、すいません。お疲れのところ引き止めて。」
「いえ。…元気出ました。小瀧さんとお話ししてたら。」
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るーちょ(プロフ) - まっちゃさん» コメントありがとうございます!応援いただきとても励みになります(T-T)最終話までぜひお付き合いください。 (2019年7月19日 20時) (レス) id: 5adc9338ef (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - とても面白いです! 応援してます! (2019年7月19日 6時) (レス) id: 622cccb941 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lucio | 作成日時:2019年7月8日 18時