★ ページ7
・
「グラフィックデザイナー」
と言うと、アート作品を作る芸術家と混同されがちだが、実際は全く異なる。
ポスターや商品パッケージ、広告、看板など、商品の宣伝や販売に関わるあらゆるデザインを制作する仕事だ。
好きなビジュアルを思うままに作れることは実はそう無かったりする。
クライアントの意向に添い、かつ、受取手にいかに視覚的に「伝わる」物を作るかが、この仕事の肝。
“つくる”と“伝わる”がセットになって初めて、デザインは機能する。
そう教えてくれたのは、ここに入社してからの教育係の先輩だった。
・
濱田さんが異動になると聞かされた日、帰社してから桐山さんにそのことを伝えると初耳だったようだった。
「マジかあ…あいつ俺に何の相談もなく……」
なんて、ちょっと打ちひしがれていたけど、他社の営業である桐山さんに何の相談すんだろ。
そう思ったけど言わずにそっとしておいた。
・
「照史、社長が呼んでんでー」
「ほいっ？なんやろか」
そこへ社長との外出から帰ってきた淳太さんが桐山さんを呼びにきて、入れ替わりに社長室へと入っていく。
営業について何か打ち合わせがあるのかなと思っていたら、5分10分ほどで出てきて、桐山さんが真っ直ぐにわたしのデスクへと歩み寄って言った。
「ゆりちゃん！西緋さんの新ブランドのデザインコンペ…決まったで！」
「へっ」
meanのロゴマークと製品ビジュアルのコンペ。
うちは小さい事務所だけど、“アルコイーリス”のことで実績もあるということで声がかかったのだった。
アルコのほうは前任の先輩デザイナーから引き継いだものだったけど、一から自分でデザインしたものが選ばれるのはやっぱり嬉しいものだ。
「わたし、まさか通るなんて思ってなくて…」
「ゆりちゃんやったやん！」
「ありがとうーしげちゃん( ；∀；)」
コンペの間、しげちゃんには他の仕事を振らせてもらったり、だいぶお世話になっていた。
毎日のように、2人で深夜まで残業したね、、(泣)
金の許す限り、寿司でも奢ろうか。
「そんじゃー明日、西緋さんに打ち合わせ行くで！」
桐山さんがスマホを操作しながら言って、わたしも手帳に“西緋 打ち合わせ”と書き込む。
「はい！」
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Lucio | 作成日時：2019年6月9日 14時
