★ ページ20
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＿＿パシャ、ピピッ
＿＿＿＿バシャ、
シャッター音と照明の音が心地よく響くスタジオで撮影は進む。
ひとカット毎にモニターをチェックして、OKならセッティングを変えて…を繰り返していく。
「ん。チェックしてもろてええ？」
「はーい。
…うん、おっけーじゃないですか？じゃ次はブーケのカットね。」
モニターでチェックしている間に、しげちゃんがつぎのカットの物品を準備してくれる。
床板を並べて、ジャスミンを置いて、水滴をつけるための霧吹きに水を補充して…
「梁ちゃん、そっちのライトもっとこう」
「こんくらい？」
「あー、そうそうそう。
しげ、こっちの花手前にもってこれる？」
「こうか？」
「あっ、リボンの色違いバージョンも撮っといてほしいんだ」
「おう、ほんじゃ先に逆アングル撮るわ」
3人のコンビネーションでサクサクと撮影は進む。
「しかしゆりちゃんと神ちゃん、めっちゃ息ぴったりやなー？」
「神ちゃんしげちゃんもなかなかよ(笑)」
「梁ちゃんは専門から一緒やしなあ。アレも一緒にやったもんな。」
神ちゃんが指差したのは、スタジオの壁を一面飾るほど大きなアートパネル。
都会の雑踏に、熱帯魚の写真が無数にコラージュされているもの。
専門学校の学園祭で展示した時のものだ。
「うん。思い入れあるもんーこれは！」
今でも、スマホの壁紙に設定している。
「何気に大変やったよなー。毎日夜遅くまで作業してさー？」
「今やってんのとかわらんな。ヒャヒャ！」
「梁ちゃん、寝不足すぎて、学祭当日パネルの影に隠れて寝てたよな」
未だに思い出話をしては神ちゃんにイジられる、学祭当時の思い出。
徹夜しながらなんとか当日に制作を間に合わせたわたしは、展示室のアートパネルの後ろにできたデッドスペースで、眠りこけてしまったのだ。
「もーいいかげんそれ言うのやめてって！
神ちゃんだって寝てたじゃん！」
「へ？俺寝てないって！」
「なに神ちゃんに濡れ衣着せてんw」
えーあれー
神ちゃんがそこにいたと、ずっと思っていたのに。
起きた時、誰かが側にいた気がしたんだけどなぁ…
夢だったのかな？
…もし現実なら、見ず知らずの人に添い寝されてたことになるじゃん。
……夢であれ！！(汗)
「ほいじゃ口ばっか動かしてないで、次のカット撮るでー」
若干のヤバさを胸にしまって、仕事に戻った。
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作者名：Lucio | 作成日時：2019年6月9日 14時
