担当さん！～ぼくのワーカホリックちゃん～ (ページ17)

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うん、初めて社泊したときは、忘れかけてた気がします…

「いやいや、今井様、ゆりちゃん男より逞しいすよ」

「この仕事量1人でやるって、せんぱい腕4本ないとおかしいレベルですよね」

しげちゃんと廉くんが口々に言うのを複雑な気持ちで聞いた。

「重岡くんも、すぐにそうは言ってられなくなるからねー」

今井様がなぜか予言めいた口調で言う。

「女子は、ひとたび恋をすれば見違えるもんなのよ！」

「っ…始まればね」

「始まるわよ！」

しげちゃんに向かって、わたしよりムキになる今井様。
いいなぁ、かわいいなぁ。

恋かぁ…恋ね、

…始まるかなあ。

脳裏にポワンと浮かんだのは、昨日初めて出会った小瀧さんの顔。

びっくりするぐらい整ってて、恋愛ドラマのヒロインのお相手ってこんなだよなぁって感じのルックス。
もう、「ヒーロー」ですってレッテルが背中に貼られててもおかしくないぐらい。てかたぶん貼ってあった。そんな気がする。

「…ゆりちゃーん？なに、思い当たる事でもあるの～？？」

「…違いますって！…今井様なんでそんなに楽しそうなんですかぁ！」

「んー？言ってみ言ってみ～～？」

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そこへ一本の外線が鳴って今井様が対応する。

はあ、解放された…

「ゆりちゃん、電話よー」

「あ、わたしか」

「東雲印刷の松本さんから！」

…げ

やな予感がしつつも、受話器をとり保留をあける。

「……お電話かわりました梁でーす…」

『あんたやる気あんの？』

ヒィッッ

「な、何かしでかしてましたでしょうか……(泣)」

『昨日もらったデータ、画像がYMCKになってない。

あとミシントンボもズレてる！』

「えぇ！」

慌てて送信済みのデータを確認すると、ご指摘通りのミス。

「すみません！すぐに送り直し…」

『あーいい、いい。オペレーターに直させたから。

ウチでデータ弄りましたってことだけ了承しといて。

…今度やったら手間賃とるからね』

がちゃ

「うぅ…HP削られた…」

よく使っている印刷所の松本さん。

松本さんは完璧主義でかなりストイックな人で有名だ。

「やってもうたな、ゆりちゃん…」

「東雲印刷さんは細かくチェックしてくれるから助かるけど、

もしそのまま印刷されたらクライアントに迷惑かかるんやからなー？」

みんな気ぃつけろよー

淳太さんの注意喚起に気を引き締め直した。

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