俺の事、好き？ -YS-

story 7 ページ7

A『すみません。
少し遅くなりそうなんですが･･･』

「何時くらい？」

A「あと･･･2時間くらいです」

「OK。その頃お店に行くよ」

A「いえ、お持ちします」

「俺、出先なんだ」

A「そうなんですか･･･」

「場所を教えられないからさ
俺が行くよ。車だし」

A「では･･･お待ちしています」

「お待ちしてて」

A「･･･はい」









顔が見えなくても分かった。








今、微笑んだ。









つられて微笑んだ、俺。









さーてと。









「お前、飯行くんだろ？」

DH「うん。ヒョン、行かないの？」

「お前が飯食ってる間に終わらせる」

DH「ヒョンなら可能だね」

「ごゆっくり」

DH「ほーい」









そもそも
毎回、新曲を決める時
俺が歌入れをするから
1度歌ったことある曲だし、
まぁ俺くらいになると
どんな曲も楽勝なんだよな。









･･･と思ったのに
気が付いたら
ドンヘも戻ってて
2時間半が過ぎていた。









DH「終わった？」

「･･･うん」

DH「随分、苦戦してたね」

「だな」

DH「約束あるんじゃないの？」

「うん」

DH「いーの？行かなくて」

「･･･疲れた」








会いたいのは山々なんだけど
レコーディングで
体力を消耗してしまって
今すぐベッドに横になりたかった。








また機会はある･･･よな。







帰ろ。








Aちゃんには
電話して
急な仕事で行けなくなったと
伝えた。








声だけだと
残念に思われたかは
正直、わからない。







でも仕方ない･･･よな。








俺は知っていたはずなんだ。








今まで何人も
コレが理由で離れて行ったことを。








会いたい時に会えない。








約束も守れない。








世間のカップルが
当たり前にやってる事が
当たり前にできない。









知っていたはずなんだ。








なんで忘れちゃったのかな。








自ら進んで
対象外になってしまった。









その日から3日後
事務所にジャケットは
届けられていて
俺は口実を失くし
尻込みするしか無かった。

story 8→←story 6

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す