俺の事、好き？ -YS-

story 23 ページ23

3件目に辿り着いた
そのショップで
Aを見つけた。







“ただいま”







メッセージを送ると
スマホをポケットから出して
俺から届いたであろう
そのメッセージを
時が止まったかのように
見入っていたA。








嫌われてはいないようだな。








もうひとつ
メッセージを送る。








“髪色変えたんだ。似合ってる”








俺が近くにいることを察したのか
窓の外に目線を向けたAと
目が合って、右手を上げた。








A「ジョンウン」

「おう。ただいま」

A「･･････おかえり」

「さっき空港に着いたんだ」

A「･･･そ･･･そうなんだ」

「飯、行かね？腹減った」

A「･････････待ってて」

「うん」







一時帰国した後
何度もメッセージを送った。








でもそれは全部
届いたのか、届いてないのか
それすらわからなかった。








電話をかけても
Aの声は聞けかなかった。








その事が全て
なかった事のように
振舞った。








いや、なかったことに
したかったんだ。








A「元気そうだね」

「まぁ元気だよ」

A「･････････」

「俺の食いたいもんでいい？」

A「･･･ジョンウン」

「ん？」

A「私は･･･ジョンウンにとって何？」

「は？」

A「なんなの？」









今、この場で抱き締めて
告白したら
気持ちは通じるだろうか。









でも、気持ちが通じたとしても
騒がれて次に会える
約束はできない。









「とりあえず、行こう」








手を取って
車に乗せると
行きつけのレストランに
車を走らせた。









道中、会話なし。









何度も目線を向けたけど
Aの目線は窓の外で
目が合うことはなかった。









店に着いて
顔馴染みのスタッフに挨拶すると
いつもの個室に通されて
向かい合って座った。









店員「お久しぶりですね、イェソンさん」

「海外行ってたから」

店員「なんにします？」

「とりあえずコーヒーと紅茶」

店員「はい」








俯いて終始俺とは目を合わさない
そんなAに苛立ちすら感じた。









気持ちは届いていると思ってたから。

story 24→←story 22

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す