love u... 2 (ページ44)

今日:3 hit、昨日:23 hit、合計:200,541 hit

love u...　93 ページ44

.
..
...

『そんなに気に入ってくれた？』

思い出せない曲を
なんとか思い出そうとする思考を
思ったより回ってる酔いが邪魔する。

そんな時右上の方から降ってきた声。

状況を理解しようとする指令と
声の主を見ようとする反射。

それよりも早く、
ずっと会いたかった人の声に
感情が高まって、涙が溢れる。

ーーなんでっ、

顔を上げると
すぐそこに樹くんがいる。

『なんでって、またねって約束したじゃん』

俺約束守る方よ？
と付け加えていう彼に、いやそうじゃなくて、
って言いたいのに

もう感情が止まらない。
迷子の子のように
顔がクシャってなるくらい泣いてる。

『Aさんに着拒されちゃったからアポ無し笑』

余裕そうな彼を見ると
一切の変装をしてなくて

半歩近づいてきた彼に

ーーだめ、、

と左手で弱くジェスチャーし
小さく首を振って、一歩下がろうとした

その時、樹くんが私の左手を取り強く引き

気がついたら樹くんの胸に収まっていた

『……もう一生会えないのかと思った…』

密着した彼の胸あたりから聞こえる彼の言葉

ただ泣きながら、そのまま収まっていた。

薄く感じてきたコートの香りより
はるかに強く香る彼の香り。

でも、どこか遠くの方に感じる
赤ワインのフレグランスの香り。

『Aさん、俺と同じ匂いするね』

うれしい。と言いながら
抱きしめられてた腕の強さを強める彼。

『迷惑だった？』

狡い質問、
迷惑なんかじゃない。

抱きしめられたまま、小さく首を横に振る

『良かった。』

ずっとこのままいたいと
もう正常に稼働しない頭と心が強く叫ぶ。

『あーもうずっとこうしててぇわ』

…Aさん、勝手にどっか消えるから。
そう付け加えていう彼と
同じ気持ちなのが、素直にうれしい。

『ちゃんと話したいから、車で話せる？』

彼の腕の中で、小さく頷くと

ん。じゃあいこっか、と
自然とあの日のように手を繋がれる。

『繋いでないと、Aさん逃げそう笑』

とか言いながら
私の歩みに合わせて歩く樹くん。

夢か、現実か
酔いのせいか
区別がつかなくなるほど

また彼に会うことを
本当は心で待ち望んでた。

助手席が開けられ大人しく乗り込む。

『初めに言っとく。もう、私なんかとか、住む世界が、とかそういう線引きやめて？？お願いだから』

約束できる？
と付け加えられたから

コクリと頷いた。