StLtH19 (ページ8)

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PAST IVー７ページ8

紫「俺みたいになりたいって言ってくれたでしょ？」

「うん。」

紫「俺、本当に嬉しくって。俺何やってもなんとなく出来てなんとなく続けてたから、ちゃんとした目標がなかったけど」

Aの真っ直ぐな目を見たら、俺も「この子みたいになりたいものがあったらな」って思った。

紫「だから、Aの隣で踊れるのすげー嬉しいよ」

めっちゃ楽しみ。と私の頬にキスをすると、「ん？濡れ、、、え？泣いてんの！？」と急に大声を出すから、押し殺してた声が溢れ出す。

紫「待って・・・泣か、」

「紫耀っ」

振り返って勢いよく抱きつくと彼は「おっっ」と戸惑ったように私の頭を撫でて「もぉ～泣くなし(笑)」と言うと愛おしそうに頬を寄せて笑う。

紫「俺の彼女、かわいいなあ」

「うるさい」

紫「褒めてんのに？(笑)」

急に泣いたり怒ったり、意味わかんなくてかわいいね。ってそれこそ意味わからないことを言いながら何度も髪にキスを落とす。

紫「あー・・・本当好きだわ」

「私も」

紫「ふふ、素直だ」

「紫耀の彼女にしてくれてありがとう」

たくさん楽しかったよ、と口にすると「なんや、そんな別れるみたいなこと言わんでも」と困ったように眉に皺を寄せる。

紫「ずっと、一緒にいるんじゃないの？」

「・・・うん」

紫「A」

そうでしょ？と問いかけてきた寂しそうな瞳と、泣きそうな表情。
忘れたことがない表情だった。

うん、ずっと紫耀と一緒にいる。と言いながらめちゃくちゃ不安だった。

何度も「一緒にいようね」と口にしてきたのに、なんだか叶わないことみたいに感じた。
紫耀はそのあともずっと甘い言葉を私にくれたし、いつものように私を愛してくれた。

夢中になってキスをして、

離れたくないとしがみつき、

耳元で「好き」と口にした、

それが、最後の綺麗な思い出だった。
想い合ってた頃の、一番綺麗な、最後の記憶だった。