StLtH19 (ページ34)

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Alan side

顕「なんで俺なの」

映画のチケットを渡してきた神宮寺は「本当はAと観る予定だったんだけど」と付け足すと自虐ネタのように「別れちゃったんで？」とケラケラ笑った。

顕「選りに選ってカップルシート...」

神「アハハッ(笑)」

顕「笑い事じゃねーよ」

俺とサクラにくれればよかったのに。と口にすると神宮寺は「あ、その手もあったか！」とわざとらしく惚けた。

顕「はぁ...」

神「まあまあ(笑)」

顕「・・・」

神「彼女と別れて寂しい俺のために１日くらい使ってくれてもいいでしょ？」

顕「もう一人の彼女は？」

神「あー・・・勝利とデート？(笑)」

顕「かわいそ」

神「はは、でしょ？(笑)」

「お前、今日サクラちゃんは？」と聞いてくる神宮寺に「学校の行事」と口にすると「ふーん、そっか」と返事をした。

カップルシートに座ってるのだからまあいろんな人に不審な目で見られるわけで。
・・・絶対に俺らがアッチ系だと思われてる。

神宮寺は大して気にしてない様子でドリンクを啜ると開始を告げる映画集中し始めた。

顕「あー疲れた」

神「さんきゅ」

顕「ふふ(笑)」

お前アイス食う？と言いながら神宮寺は目の前のアイス屋さんに入ろうとしていて、「ここサクラとしか来たことねーな」と思いながら可愛らしい外装のお店に男二人で入ると神宮寺が「ここアイツとしかきたことねえわ(笑)」と困ったように笑った。同じこと考えてたとか、気持ち悪いな。

顕「あのさ」

神「ん？」

アイスを食べながら、聞きたかったことを聞いてみた。

顕「Aのこと聞かねえの？」

神「・・・。」

神宮寺は目を伏せると、「・・・聞いてどうするんだろうね、俺」と乾いた笑みを浮かべた。

神「俺さ、お前に感謝してんだよね」

顕「え？」

神「付き合えたの、お前のお陰だから」

Aと喧嘩してくれてありがと(笑)と笑っては何かを思い出したように「きっかけ、お前に作ってもらったんだよ」と目を細めた。

素直に感謝されるとは思ってなくて照れ臭くて、「お前の牽制めっちゃウザかったけど」と顔を逸らすと神宮寺は「うるせー！(笑)」と大笑いした。

神「(笑)まあ・・・大好きだったから」

うわー、はずー。未練タラタラじゃん！とまた笑うけど、俺は笑えなかった。