PAST IVー1 ページ2
夏休みがやってきた。
家の庭で水を撒いて遊ぶ紫耀とじんを横目に端っこで日傘を差して座る。
キャッキャとふざけ合っては楽しそうに笑う二人。
炎天下の中でこんなにも楽しめるなんて・・・。
バレエの発表会が近いから私は日焼けしないように日焼け止めも日傘も差してるのに。
「紫耀!日焼けしちゃうよ!」
紫「あ?大丈夫!」
「大丈夫じゃない!」
紫「お前が気にしすぎなんだって!」
家の庭で日傘ってどこのお嬢様だよ(笑)ってケラケラ笑うから、口を尖らせるとじんが苦笑いした。
神「俺のパーカー使っていいよ」
じんが近くにやってきて、「はい」って手渡してくれる。
「・・・あぁ、ありがと」
この前のことを思い出して、ぎこちなく笑うことしかできない。
パーカーを受け取るとじんは優しく笑って、紫耀のところに戻っていった。
紫「病弱じゃあるまいし、別にいいのに」
神「バレリーナにとって日焼けは致命的なんでしょ?」
紫「まあ、そうなんだけど」
「じん何で知ってるの?」
神「ん?Aが言ったんでしょ?」
「そうだっけ」
神「ん、そう。覚えてた。」
「・・・そっか」
じんにパーカー着とけよ!と言われて、せっかく貸してもらったからありがたく着ようかなとか考えてたら突然「アーーッ!!!」って声が聞こえて顔を上げるとじんに向けて水を吹きかけた紫耀がケラケラ笑ってた。
神「目に入ったんだけど!(笑)」
紫「アハハ!(笑)」
「・・・(笑)」
楽しそうな二人を見つめて小さく笑うと、顔を拭くじんの目を盗んで紫耀が私の元へ駆け寄ってくる。
「ん?」
紫「シッ!」
急に日傘を持ってる手を掴まれたと思ったら、私と彼を隠すように傘が傾いた。
「・・・なに?」
紫「ふふ(笑)」
きょとんとする私に笑って、顔を近づける。
「・・・っ!」
紫「(笑)」
急にキスされて吃驚する私を見て舌を出すと、彼は傘を退かして立ち上がった。
神「あー!!!今チューしてたでしょ!」
紫「別に!!」
「・・・」
神「Aの顔が真っ赤だけど?」
「えっ!?」
紫「焦りすぎ(笑)」
紫耀は私の側から離れると、「プール行かね?」とまた私が怒るようなことを言ってはケラケラと笑っていた。
その日は久しぶりに3人で遊んで、凄く楽しかった記憶がある。
3人で心から笑いあった最後の時間だった。
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作者名:愛美 | 作成日時:2019年3月10日 20時