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2人きりになったアトリエ。
彼はいつにも増して無言、
走らせる筆の様子も荒々しく私を見る目も鋭く光っている。
20分を知らせるタイマーが鳴ると
「…休憩、おつかれさん」とだけ呟いて彼は筆を置いて水を飲みながら私に背を向けた。
そんな彼の嫉妬心が滲む背中を
私は後ろからぎゅうっと抱きしめる。
「…何やねん、」
「理由がないとダメ？」
「おい…馬鹿にしてんのか？」
彼が時々口にする言葉に
“ 芸術に言葉も理由もいらんねん ”と言うのがある。
つまり裸見たさに教室に来た人のことも
本当は否定はできない、ということ。
そんな欲望が時に輝かしい作品を生み出すこともあるだろうから。
彼は私が今揚げ足取りをしたと思ってしまったらしい。…また少し不機嫌になってしまった。
「先生可愛いです。…ウブでウブで」
「…馬鹿にしてるやろ？思いっきし」
「さっきの言葉嬉しかったです」
「私の尊厳を保ってくれて」。
そう言うと、愛しさに任せて彼の身体を再び抱きしめた。
途端に引き寄せられる腕。
あえなく押し倒される身体。私の上に馬乗りになる
……真剣な、先生の赤らんだ表情。
「先生、」と呟くより早く
彼は私に情熱的なキスを落とした。
「ん、っ…はぁ、ふ……、っん」
先生の手は私の顔に触れ、
私の腕は次第に先生の首に絡んでゆく。
何度も何度も角度を変えてキスを繰り返していると
昂った欲が止められずに互いの身体を弄り合う。
「…あかん、我慢できひん。…してい？」と
苦しそうに囁く彼を優しく受け止める。
少し長めの休憩の最中に、そうして身体を重ねた。
カチコチと時を刻む時計の音と
2人の吐息と、静かな喘ぎと、肌を打ちつけ合う音がアトリエに響いた。
「っ…はぁ、っ…、」
「…先生、汗すごい」
「……あっかん、またやってしもた」
「最近コレ何回目や」と言って先生は頭を抱える。
でも私は知っている。
事後の彼の筆には艶やかさと生命力がいつも以上に乗ること。
きっと今回も私を綺麗に描いてくれるに違いない。
「ほんまは腹ん中めちゃめちゃ嫉妬塗れですわ。
…いっくらカッコいいこと言っても」
「うん、知ってる」
「ぼちぼち直すて。…直すから、ほんま許して」
そう言ってキスをしていたところ
私の父こと教授に現場を見られて彼が土下座をしたのは言うまでもない。
End
0 7 / Food Lover(食いしん坊) × White.→←.
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Haruno(プロフ) - シキさん» シキ様、お返事が遅くなってしまい申し訳ありません…🙇♀️🤍のお話気に入って頂けて良かったです🥹 (7月29日 19時) (
レス) id: 7ace42d2c7 (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - mikuさん» miku様、お返事が大遅刻の大遅刻で大変申し訳ありません…今更…🙏🙇♀️最後まで読んでくださり本当に有難うございます…！そんな風に言って頂けて本当に嬉しい限りです🥹 (7月29日 19時) (レス) id: 7ace42d2c7 (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - どのお話も最高にドキドキしました！特にラウのお話が好みすぎて…！もしよろしければ続きもみてみたいです！よろしくお願いします！ (2023年4月21日 17時) (レス) @page50 id: fa47139e50 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 全部が最高でした！続編があったら読んでみたいです(_ _) (2022年11月5日 10時) (レス) @page48 id: 9190d456fa (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - みきさん» みき様、リクエストありがとうございます…！こっちも多分なんですが、ふっかさんのお話の方が長編化の可能性あるかもです…！あくまでかもなんですが（ ; ; ） (2021年9月5日 8時) (レス) id: c65c76f5bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Haruno
| 作成日時：2021年8月12日 3時
