メイド様とご子息 (ページ2)

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「いらっしゃい！Aさん、お待ちしてたわ。」

と、出迎えてくれたのは家主の奥様であろう女性だった。こんな豪邸に住んでるものだからてっきりダイヤモンドやらルビーやらいかにもド派手なおばさんが出てくるかと思いきや、むしろ質素な女性が出てきて驚いた。

質素といえど、地味かと言われたらそうではなくて、程よく着飾られた美しい人だった。

さらに、その女性は所作が綺麗だ。歩き方も、会釈の仕方も、全てが洗練されててすごく上品だった。佐藤家の方は噂通りいい感じの人達だ、と私に洗脳させるぐらい印象が素敵な女性。

『はじめまして、佐藤様。今日からお世話になります、〇〇Aと申します。どうぞよろしくお願いします。』

生きてきてこんなに畏まったことがあるのか、と思うくらいすごく丁寧な挨拶をする、それと同時におかしくなってきて笑いがこみ上げてきそうだ。

「やだわ、そんなかしこまらないで！私達のことは家族とおもってもらってね？仲良くしていきましょう。」

『ありがとうございます。』

「Aちゃって呼んでいいかしら？」

『あ、はい、もちろんです。』

「私のことは恵理子って呼んでね？」

『あ、はい！』

「Aちゃんはご趣味とかあるのかしら？」

『え、あ、スポーツとかですかね。』

「まぁ、スポーツなんてされるの？いいわね！」

『ありがとうございます。』

私に興味を示してもらえるのはありがたいが、目を輝かせて質問攻めをしてくる恵理子さんに若干脅威すら感じ始めていた矢先、

「ねえ、母さん。それぐらいにしときなよ。」

部屋の奥から男の人が出てきてそう発した。
その声の主を見ると今まで見たことないくらいに整ったお顔の持ち主だった。