無彩色カレシ gr.Ver(リク) ページ47
学パロ
私の世界は色で溢れていた。
人の倍以上の色覚を持ち、音や温度さえも色に感じる私にはこの世界は眩しかった。
それでも絵を描き続けた。思い描く理想郷は何時も絵の中にあった。
人前は苦手だし視線を感じるのも嫌なのに、あなたはいつもそばにいた。
クラスだって学年だって違う。それなのに彼は子供の頃からずっと私のそばにいた。
色がごちゃごちゃと混ざった色じゃなく、無彩色の黒や灰色を好む彼の単色の金色だけが私の目に輝く。
そんな見目麗しい彼が視線を集めるのは必至だった。
高校もたまたま同じ私立に入ったが、生徒会長としてみんなの憧れの的になるのに忙しい彼が私に付きまとうことは無かった。
私は目立たず生きていこうと思っていたのに、
私はやらかしてしまった。
授業で描いた課題の絵画が全国コンクールを突破してしてしまった。
コンクールは全国突破組はパリのルーヴル美術館に飾られる。
終業式での表彰は必至だし、ルーヴルから帰ってきた絵を学校に飾られるのは避けられない。
そして、表彰を読み上げるのはこの学校では校長ではなく、生徒会長である彼なのだ。
彼が私の存在を知ったならまたつきまとわれる。
私は喜びなんて消え去った悲しさを胸に日々を過ごした。
日々は無情に流れ。終業式が予定通り行われた。
表彰式のプログラムで呼ばれ、刻一刻と私の番を待つ。
私の番になり壇上に登れば、驚いた顔をする彼。
表彰を読み上げる声も心做しか嬉々としている。
あぁ、眩しい
終業式の後流れ解散で帰る。少し早く帰れるのはすごくありがたい。
けど私は彼に呼び出され生徒会室へ。
憂鬱だ。彼の周りにいる人は眩しすぎるから。
だけど生徒会室の中は彼一人
「失礼します。」
「堅苦しい言い方はせんといて。昔からの仲としてじゃないか。」
「そうですけど」
「お前が絵を描き続けてくれて嬉しいぞ。コンクールの絵を拝見したが実に素晴らしいピカソやダ・ヴィンチにも劣らぬ出来栄えだった。」
生徒会長席から立ち上がりジリジリと躙り寄る彼に何となくあとづさりをする。
「お世辞をどうも」
「お世辞じゃないゾ!」
「…」
「なぁ、A」
バリトンの声で名前を呼ばれれば無意識にもビクリと反応してしまう。
「俺を付き合ってはくれないか?もっとお前のそばにいたい」
「どうして」
「小学校の時からずっと好きだった。」
「…ごめんなさい」
私は生徒会室から逃げ出した。
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卍エシラ(プロフ) - ベルギーチョコさん» どこでもいいですよ (2022年2月20日 19時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
ベルギーチョコ(プロフ) - あの、リクエストって最新作の方の短編集にコメントしたほうがいいですかね…? (2022年2月20日 18時) (レス) id: 1be44ced24 (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 赤狩りさん» こちらこそ細部まで見てくれてるようでお気遣いありがとうございます。 (2019年12月7日 21時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
赤狩り - 卍エシラさん» なるほど……確かに、そうですね。申し訳ありません。そして何度でも言いますが好きです。好きです(大事なことなので) (2019年12月7日 17時) (レス) id: 3967b4b60c (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 赤狩りさん» そうですねすみません。ですが凶はkrしかかけないので凶とタグ付けるのも少し気が引けます。ですから説明欄にwrwrd+αとしてkr先生がいますよと書かせて頂きます。検索避けをしていても直接的なタグを付けすぎると検索避けの意味がなくなってしまうんです。 (2019年12月7日 12時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:卍エシラ | 作成日時:2019年11月7日 23時