人外カノジョ kr.Ver ページ46
九尾
狐につままれるというのはこういうことなのだろうか。
今僕の寝室で、煙が嫌いな僕の前で煙管をふかし、僕の上にまたがるのは紛れもない僕の彼女であるはずなのに、
彼女の姿は半獣の九尾の狐なのだ。
呆気にとられた僕に煙をふーっと吹きかけて噎せる僕をみてケラケラと笑う彼女さえも愛らしく感じる僕も相当お熱だ。
「可愛いのに悪い子だね。」
狐の耳を撫でれば擽ったいのか身を捩り、
可愛い八重歯を覗かせて笑う、
「九尾は天皇とかお偉いさんのところに現れるものだろう?なんでこんな一科学者なんかに?」
「心というものは不思議です。何百年何千年と人間の世で人間として暮らしていたら、恋という心が芽生えました。もし、あなたが望むならこの耳、このしっぽを切り落とし普通の人間としてあなたのそばに添い遂げたい。」
「それもまた一興だね。最後に妖術を見せてくれないかな。インチキ陰陽師みたいな手品じゃなくて。」
「分かりました。」
そう言って彼女は僕にキスをした。
煙の苦い味が甘くなるほど、ドロドロに甘いキスを
そして僕が再び彼女を姿を見ると、いつもの美しい女性。
「完璧なミスディレクションだね。」
彼女はあの日以来あの姿になることは無かった。
僕が永遠の眠りにつく時に彼女はまだ美しいままだった。
僕が目を閉じようとすると彼女も目を閉じて眠りにつく。
あの世でもまた会えるようにずっとこの手は離さない。
僕の80数年の命と彼女の数千年の人生は、静かに終わりを告げた。
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卍エシラ(プロフ) - ベルギーチョコさん» どこでもいいですよ (2022年2月20日 19時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
ベルギーチョコ(プロフ) - あの、リクエストって最新作の方の短編集にコメントしたほうがいいですかね…? (2022年2月20日 18時) (レス) id: 1be44ced24 (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 赤狩りさん» こちらこそ細部まで見てくれてるようでお気遣いありがとうございます。 (2019年12月7日 21時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
赤狩り - 卍エシラさん» なるほど……確かに、そうですね。申し訳ありません。そして何度でも言いますが好きです。好きです(大事なことなので) (2019年12月7日 17時) (レス) id: 3967b4b60c (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 赤狩りさん» そうですねすみません。ですが凶はkrしかかけないので凶とタグ付けるのも少し気が引けます。ですから説明欄にwrwrd+αとしてkr先生がいますよと書かせて頂きます。検索避けをしていても直接的なタグを付けすぎると検索避けの意味がなくなってしまうんです。 (2019年12月7日 12時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:卍エシラ | 作成日時:2019年11月7日 23時