ライバルカレシ zm.Ver ページ14
何度も踏みなれた戦場という場。
しかし硝煙から遠く離れた、この城に敵の頭はいる、
相手の首を取るのは私かゾム、来る前には競走だなんて言っていた。
だからなんの戸惑いもなく進む。一段一段踏みしめて階段を上ること最上階。
あからさまな所から声が聞こえる。
勝利の確信の笑い声。
そんなのを聞いて上がる口角を抑える。
「ゾム？私が先に見つけちゃったわよ？」
「早いなぁ」
「先いくからね？今回は私の勝ちね」
「え！？ちょぉ待てぇ！」
最後のインカムは聞こえず部屋に飛び込んだ。
その瞬間……思った。
あぁ、しくったな
肉が砕け骨が散り、がたがたと崩れ落ちた。
血を吐き、意識が朦朧とする。
ゾム、今日もあなたの勝ちよ
なんて、走馬灯が見え始めた。
いつの間にか敵は逃げたらしくあたりは静かで、死を待つだけの私には1秒1秒が長く感じる。
視界の端に見える緑の彼
こんな幻覚まで見えてきたのか。
なにか話す声も聞こえない。
「ぞ、む」
「そやで俺や！」
「ごめ、ん。」
「何がやねん！早く血止めな！」
「早く私を、殺して」
「嫌や！殺した無い」
「このまま、だと、あいつに殺さ、れたことになる、から。やく、そく。まもれ、ない」
「なにゆうてんねん。まだ生きれるやろが！」
「む、り。内臓グチャ、グチャや、もん」
「でも、でも」
「早く、殺して、あ、いつを、追、って。逃げて、グルちゃんのところ、に行く前、に」
「……」
何かを察したように悲しい顔をすると彼は私があげたナイフを大きく振りかぶった。
「ありがとう」
私が言えた最後の言葉だ。
ゾムは敵の頭をおった。
彼の敷く道は赤く染まり、人だったものが転がる。
敵を薙ぎ倒して、戦場中を探し回った。
頭見つけた頃にはもう、敵軍は1割も残ってはいなかった。
赤い緑のフードと、その狂気的な目に命乞いするクズを無情に、非情に、
食い殺した。
そして、鳴いた、啼いた、泣いた。
血溜まり溢れるなか、屍の山の頂上で、
哭いた。
「悲しい勝利だね。ゾム」
インカムから聞こえてきたのは、終戦のひとこえだった。
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卍エシラ(プロフ) - ベルギーチョコさん» どこでもいいですよ (2022年2月20日 19時) (
レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
ベルギーチョコ(プロフ) - あの、リクエストって最新作の方の短編集にコメントしたほうがいいですかね…？ (2022年2月20日 18時) (レス) id: 1be44ced24 (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 赤狩りさん» こちらこそ細部まで見てくれてるようでお気遣いありがとうございます。 (2019年12月7日 21時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
赤狩り - 卍エシラさん» なるほど……確かに、そうですね。申し訳ありません。そして何度でも言いますが好きです。好きです(大事なことなので) (2019年12月7日 17時) (レス) id: 3967b4b60c (このIDを非表示/違反報告)
卍エシラ(プロフ) - 赤狩りさん» そうですねすみません。ですが凶はkrしかかけないので凶とタグ付けるのも少し気が引けます。ですから説明欄にwrwrd＋αとしてkr先生がいますよと書かせて頂きます。検索避けをしていても直接的なタグを付けすぎると検索避けの意味がなくなってしまうんです。 (2019年12月7日 12時) (レス) id: 62414ec622 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卍エシラ | 作成日時：2019年11月7日 23時
