【銀魂】愛は、やじろべえ【神威】

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『満月の時は、大体ここに来てるんだ』

『なんだか狼男みたいですね』

『男はみんな狼だよ』




ヘラっと笑う彼に、彼女は釣られて微笑む。

先ほど出会ったばかりの二人が、こうして楽しそうに会話をしているのは、恐らく銀時の持っている力のせいだろう


人を惹き込む力。彼女はその存在に、気付いていて気付いていない。



『名前、なんていうの？』

『雨宮Aです』

『雨、ねェ……
雨はあんまり好きじゃねェな』




自分の苗字から、雨を好きではないという話に運ばれたことに、今度はAの方が吹き出してしまう


銀時はその様子を横目に見て、ふっと口元を緩めた




『貴方のお名前は？』

『俺は坂田銀時』

『銀時……
そうですね、私は銀より金が好きです』



さっきの仕返しだと言わんばかりの山形にした目を彼に見せる

銀時は「うるせェ」と言い、それを機に二人して笑い合った




『……月って、こんなに綺麗なんですね』



二人並んで地面に寝転び、Aは指先までピンとさせ月へと腕を伸ばす

隣りにいる銀時の方を向くが、思ったよりも距離が近く、頬を紅らめながら彼女は顔を背ける




『届かねェから、綺麗だって思うんだよ』



聞き返すように、Aが再び顔を向ければ、銀時はゆっくりと続きを話し始めた

その表情はどこか寂しげであり、彼女は目を惹いてしまう




『触れる距離にあれば、誰も憧れやしねェ。
遠くにあるから、見惚れちまうんだ』



今度は彼が月へと腕を伸ばし、その手は空を掴む。そのまま地面へだらしなく下げ、焼き付けるくらい、月を見つめていた



この後彼らは、何度共に満月を見たのだろうか

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