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自分がこの屋敷に居ない間の金庫室を、早送りで流す。
一つの人影が見えたところで再生ボタンを押せば、そこには金庫をこじ開けて、盗んだ書類を銀のアタッシュケースに入れるという犯行の一部始終が撮られていた
顔を拡大し、解析する。
はっきりと映った顔に、Aは心当たりがあった。
沖田が見せた写真の人物にそっくりなのである。
つまり神威の上司であり、公安に追われている存在。
犯人を見てしまったことにより、Aの心拍数は上がり始め、口の中が乾いていく
沖田から貰った名刺をポケットから取り出した彼女は、それをしばらく睨みつけるようにジッと見つめ、自身の携帯を取り出した
数回のコール音の後、Aは慌てて電話を切る。
……もし、警察に彼の家から企業情報が漏れたと知られたら。
おそらく大々的なニュースになるだろう。
そうしたら、彼女の主人の会社はどうなってしまうのか。
その不安が渦巻き、Aは怖くなってしまったのだ。
携帯の電源までも切り、テーブルの上へ置く。
ようやくそこでソウゴの存在に気が付いたAに、稚拙な考えが浮かんでしまう
彼を金庫まで連れて行き、そこの匂いを嗅がせた。
そしてソウゴにこの匂いを辿るように命令する。
……しかし、彼は警察犬とは違い、特殊な訓練は受けていない。
そんなこと百も承知な彼女は、藁にもすがる思いでソウゴに頼ったのだ
動物にも心はある。知性がある。
彼女は、それに掛けた。
ソウゴは再び匂いを嗅ぎ、部屋を出ていく。
その後を、Aは少し距離を置いて付いていった
『A、これから会社に戻るから……A?』
金庫の置いてある部屋には、既に彼女の姿はない。
神威は頭を掻いたが、自身の携帯が鳴ったため、結局それ以上探そうとはしなかった
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新作です。
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さざんか(プロフ) - 更新お疲れ様でした…!そして素敵な作品を本当にありがとうございました!涙が出てきちゃう程良いお話で、凄く忘がたい作品になりました。完結から長らく経ってしまいましたが、出会えて良かったと心から思います。本当にありがとうございました。 (2022年3月13日 3時) (レス) id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
今日花 - とても良い作品でした。神威が不器用な、けれど優しいところに惹き付けられました。最後は結婚という結果で思わず笑みが溢れます。心に残る作品でした。 (2017年9月19日 18時) (レス) id: 53c7e05c46 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ななさん» ありがとうございます! 大好きとは、勿体無いお言葉!! 神威は難しくて苦戦していましたが、ななさんにそう言ってもらえたので、そんな苦悩は吹き飛びました! コメントと閲覧、本当にありがとうございます( ´ ∀`) (2017年8月12日 10時) (レス) id: 30ed3dcdf9 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 完結おめでとうございます!!とても面白くて素敵なこの小説、大好きです^^これからも頑張ってください!応援しています! (2017年8月6日 1時) (レス) id: f0f39f84a9 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - RTtk46NmHahsgrzさん» ありがとうございます! こちらの作品、悩みに悩んで進めて行った作品なので、そう言ってもらえてとても嬉しいです。いつかまた、読み返してくださるとありがたいです^^ 他の作品も、もし良ければ読んでほしいです! また好きになってくださいな!! (2017年8月4日 10時) (レス) id: 731ff239df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年6月19日 20時