浦島坂田船でただただ妄想を膨らませるやつ【短編集】 (ページ13)

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風邪②【志麻】ページ13

頭が重く痛い。体が重くだるい。
熱もあるみたい。
志麻くんは部屋でゲームをしている。終わってこっちに来たら言おう。そんな危機感がない私を今は恨んでいる。

急なめまいに襲われ立っていられなくなった。
そして意識は遠のき……

「…！A！」
志麻くん…

色々話しているけどわからない。
まだ頭がぼーっとしている。

ソファーに運んでくれて、ご飯を作ると言ってその場を離れようとしする志麻くん。
今だけはわがままでいさせてほしかった。
志麻くんを引き止めることに成功すると私は安心して眠りについた。

お湯が沸騰するボコボコという音で目が覚めた。周りを見ても志麻くんはいない。

しかし、頭の下にはアイス枕。布団もかけてあって、机の上には看病セット。
スパダリすぎるだろおおおおおおおお！！！！！

音のするキッチンを見るために体を起こす。
まだ頭は痛いけれど少しましになったような気もする。
キッチンでは昨日の鍋を使ってなにか作っている志麻くん。きれいだなぁ。

見惚れていると志麻くんと目があった。
「お、目覚めた？」

すぐに言葉が出てこず頷く。
なんで私こんなスパダリすぎる彼氏持ってるんだろう。すごくない？

「あともうちょいで出来るからまってなぁ」

そして数分後
私の大好きな卵がいっぱい入った雑炊。
「食べれる？」

『たべる』

こんな美味しそうなの食べないとかもったいない
しかもせっかく作ってくれたんだもん。

れんげですくい一口、口に入れた。
『あふっ…おいひい』

「火傷してない？ごめんなよかったわぁ」

思ったより熱くてびっくりしたけどこれも志麻くんが私に出来たてを食べさせてくれようとしたからだ。昨日のお肉の出汁がまたおいしい…食欲なくても進む…

「今全部食べんくていいからな？吐いたら困るからちょっとしとき？」

食べ続ける私を心配したのか志麻くんが言ってきた。
確かに。

『ごちそーさまおいしかったありがとう』

「おそまつさまでした。」

『今日ありがと』

「いえいえ。たまにはこんな日もあっていいな」

『志麻くんにこんな大変な思いたまにでもさせてられないよ』

「俺はどんな世話でもやるけど？」

なんてニヤニヤしながら言ってくる志麻くんは相当な変態だと思う。
変なスイッチを入れてしまった自分を叱っておこう。

『だいすきだよ』

そういってもう一度眠りについた。