【名探偵コナン】トリップ娘は推しキャラの顔見知りを目指す【安室透/降谷零】

第46話 ストーカーXは誰か。その14.お礼 ページ48

安室さんは無表情に近かったが少し怒りを感じているのか雰囲気に棘があってピリピリする。アパタイトの瞳は変わらず綺麗だけど、まるで温度がない。

安室「事情はどうあれ、あなたが流花さんを拉致した事実は変わらない。その罪に対する罰は正しく受けてもらう。」

肩に触れる手に僅かに力が込められる。それだけで感情が大きく揺れ動いて、ふわふわと甘さに支配されてしまう。ああ、もう安室さん好き。好きすぎる。
一方で大橋君は安室さんに圧倒されて、ひっ、と声を漏らす。体を震わせて後ろへ引いた瞬間に
バンッ！！！
とドアが開く音がした。入ってきたのは数人のスーツを着た男性で、その内の1人は降谷さんの部下の風見さんだった。流れるように大橋君に手錠をかける。大橋君は抵抗するが、恐らく全員が公安の警察官。叶うはずもなかった。風見さんは連行を周りの人間に任せてこちらへ来ると警察手帳を提示した。

風見「あなたが通報した安室透さんで間違いないですか？」

安室「ええ。」

ああ、初対面の警察と一般人って体なんだ。
2人は私から少し離れてやり取りを交わす。やり取りを終えると安室さんは私のところに戻ってきた。

安室「現場を調べたら病院に連れてってくれるそうです。僕も一緒に調べてくるので流花さんは待っていて下さい。」

流花「え、安室さん怪我してるのに大丈夫ですか？」

安室「心配してくれてありがとうございます。でも怪我も大したことありませんし少し調べるだけなので大丈夫ですよ。」

流花「そう、ですか。」

公安としての仕事なんだろう。無茶してほしくないけど、降谷さんの邪魔はしたくない。だからせめて。

流花「安室さん、ちょっと失礼します。」

ショルダーバッグから絆創膏を取り出して、安室さんの頬に貼る。血は止まってきてたからこれで大丈夫だろう。安室さんはほんの一瞬呆気にとられたような顔をする。

流花「すみません、依頼とはいえ大変な目に遭わせて怪我までさせちゃって。」

安室「……謝罪はいりません。それより流花さんからほしい言葉があります。」

流花「え、何でしょう？」

安室「分かりませんか？じゃあヒント……と言ってもほぼ答えになってしまいますが。流花さん、絆創膏ありがとうございます。」

安室さんは僅かに目を細めてふわりと笑ってそう言った。そのアパタイトの瞳に優しい光が灯る。甘い、甘すぎて胸がつまる。

流花「....ありがとうございます。流花のこと助けてくれて、ありがとうございます、安室さん。」

安室「どういたしまして。」

安室さんは何処か満足気だった。

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