第31話 シトリンの足跡10 ページ33
警視庁前での会話という名のお説教、そして自己紹介と約束を交わした後、安室は流花を家の近くまで送り届けた。悪いから大丈夫だと言う流花を押し切って。その道中、先程の件の中で疑問だったことを彼女に質問した。
安室「流花さんはどうして田荷下さんが人殺しだと分かったんですか？」
その質問に流花は表情を消す。
流花「分かったというか、何となくそんな感じがしただけですよ。ただの勘です。」
安室「.....勘ですか。」
流花「はい、勘です。シックスセンスとか直感とかそういう類のやつです。あとは.....強いて言うなら経験則というやつでしょうか。」
自分から言ってきたということは触れてもいいということか。
安室「それは.....過去にあなたが人殺しに遭遇したことがある、と解釈しても？」
流花「はい。」
流花は至って冷静に答える。
流花「安室さん、1年前に○○ショッピングモールで起きたテロのこと知ってますか？」
安室「っ！.....ええ。○○ショッピングモール人質事件、ですよね。」
1年前、そのショッピングモールで過激派テロ集団が従業員や客を合わせた100人あまりの人間を人質に、政府へ金を要求し立て籠った大規模なテロが起こったのだ。
結果的にテロ集団を捕らえることに成功して事件は解決した。しかし警察官はテロ集団の発砲により4人殉職、立て籠った間に人質は10人が見せしめとして射殺されたのだ。
安室(彼女が今、その話しを持ち出したということは.....)
流花「流花も人質の1人だったんですよ。」
彼女は目を伏せた。
流花「人が死んでいくのを、彼らが人を殺すのをこの目で何度も見ました。だからかな？」
彼女は1拍置いて、
流花「....これは公にされてませんが彼ら心底楽しんでいました。人質が怯えている姿を。人を殺すことを。.....いとわしいこと極まりないです。」
押し込んでいたものを吐き出すように言葉を紡いだ。しかし次の瞬間はっとしてばつが悪そうな表情をする。
流花「すみません。変な話ししちゃって」
安室「いえ、僕の方こそ失礼なことを言ってしまいすみま.....」
流花「安室さんは悪くないです。話し始めたのは私ですから悪いのは私です。謝らないで下さい。」
安室が謝ろうとする前に食い気味に遮られる。
安室「いや、配慮できなかった僕が.....」
流花「謝らないで。」
語気を強めた彼女に鋭い瞳で見つめられる。
安室「.....分かりました。」
彼の答えに流花はその瞳から鋭さを消し満足したように微笑む。
安室(.....強情な人だ。)
だが安室は流花に一切不快を感じなかった。
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未来ーミクー(プロフ) - 面白かったです！最初は「読みにくっ」と思いましたが内容は素晴らしかったです！！この調子で更新頑張って下さい。続き待ってます (2020年1月17日 16時) (
レス) id: 6e3b9846a0 (このIDを非表示/違反報告)
一ノ瀬花恋(プロフ) - さちさん» めっちゃ嬉しい、読んでくださってありがとうございます！楽しんでいただけて何よりです。更新なるべく早くできるように頑張ります！ (2019年10月26日 21時) (レス) id: 8df8383c0e (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろいです。続きが楽しみです。よろしくお願いします。 (2019年10月26日 20時) (レス) id: 5f335610e5 (このIDを非表示/違反報告)
一ノ瀬花恋(プロフ) - まさるさん» ご指摘ありがとうございます<(_ _)>修正しました！ (2019年8月20日 22時) (レス) id: 8df8383c0e (このIDを非表示/違反報告)
まさる - 毛利探偵事務所の住所は、東京都米花市米花町です。東都などという地名はありません。 (2019年8月20日 13時) (レス) id: 7e2c3c7e2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一ノ瀬花恋 | 作成日時：2019年8月17日 5時
