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「私ね、高校のとき、優太のこと好きだったんだ」
『えっ…』
突然の和花ちゃんの発言に、言葉を失ってしまう。
いや、好きだったんだろうなって写真見たとき、気付いたじゃん、私。
「いや、ごめん!今は一切そんな感情ないから!断じて!!安心して?」
『う、うん』
私には彼がいるから、と左手にはめられた婚約指輪を見る和花ちゃん。
その言葉は到底嘘には思えない。
「あっ、それでね?好きだったのにさ!優太、私のこと忘れてたんだよ?ひどくない!?」
『え、…あはは。そう、だね』
同窓会始まってすぐ、ごめん誰だっけ、なんて言われてさ!と、私が来る前のやり取りを教えてくれる。
そんな相手と、急に、あんな距離を縮めるものなの?
なんて考えてしまう私は、本当に性格が悪いみたいだ。
「その同窓会のときに優太ね、そろそろA来るから〜とか言い出して、酔っ払ってるのに外に迎え行こうとしてたの」
『…迎え?』
「そ!あんまりフラフラしてるもんだから、ついて行ってあげようとしたわけ。他のやつら、みんな飲みまくってたから当てにならないでしょ?」
店内から出てきたときのことだよね?
優太くん、私のこと迎えに来てくれようとしてたんだ、なんてジーンと胸が熱くなる。
「あんまりフラフラだったから店に戻らせちゃったんだけどね。でもね、外出たとき、優太言ってたよ」
『…なんて?』
「こんなに好きになれるのAだけなんだ、って。私に言うなって感じ笑。あとね、可愛すぎるんだよまじで。早く紹介したいわ〜って言ってた。ほんと、愛されてるよ!Aちゃん!!」
『そう…なんだ』
赤裸々な言葉たちに、顔が熱くなってくる。
あのときの会話って、このことだったのかな。
「私も、そう思える人に出会えたけどね!!」
こっちに向かって歩いてくる彼を愛おしそうに見つめた和花ちゃんは、また今度相談しに来るね、と言って立ち上がり、帰っていった。
そんな話聞いたら、もう
完全に私の勘違いで、優太くんに悪いことをしてしまったんじゃないかって焦ってくる。
だけど、まだ
ふたりがキスをしたように見えた理由がわからなくて。
それをちゃんと、今日、優太くんに聞こう、と強く心に決めた。
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hinata(プロフ) - すかいさん» お読みいただきありがとうございます!岸くんのお世話係ですのほうでもコメントくださって、とても感激しております…! 更新は停滞しておりますが、他作品でも機会があればよろしくお願いいたします! (2020年3月14日 11時) (レス) id: ef05115d0f (このIDを非表示/違反報告)
すかい - コメント失礼します!とても素敵な作品で、読んでいた幸せな気持ちになりました。ありがとうございました^ - ^ (2020年3月14日 2時) (レス) id: c9cd880fe4 (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - ぷーちゃんさん» はじめまして!うわぁありがとうございますっ!!読んでいただいてる人が情景を浮かべられるように書くのを心がけていたので、そう言っていただけると嬉しいです(T^T)最後までありがとうございました!! (2019年8月25日 2時) (レス) id: 3e3d9afca9 (このIDを非表示/違反報告)
ぷーちゃん(プロフ) - 初めまして、岸くんも廉くんもかっこよすぎて平野担なのに恋しそうでした‥笑 とても読みやすく背景が想像出来るような内容でとても楽しかったです!! (2019年8月21日 18時) (レス) id: f5805a4cc2 (このIDを非表示/違反報告)
hinata(プロフ) - ゆかさん» ありがとうございます(T^T) 私の作品が好きだと言っていただけることが何より嬉しいです!!新作ができた時には、またぜひよろしくお願いします!! (2019年8月11日 0時) (レス) id: e06037eac2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:hinata | 作成日時:2019年4月22日 17時