Love again −愛を、もう一度− 【T.O】

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大倉先輩のカウントから曲が始まる。


大学時代に比べると格段にまとまった演奏、そしてかなりハイレベルな曲の仕上がり。

オリジナル曲だろうか、聴いたことない曲だがプロではなくあくまで“趣味程度”では勿体ないほどの実力だ。



可愛らしい見た目からは想像つかない安田先輩の力強いギター、安定感のある丸山さんのベース、落ち着きのある村上さんのキーボード、曲のアクセントになる横山さんのトランペット。

そしてなにより、リズムを乱すことの無い完璧で鼓動を刺激する大倉先輩のドラム。


私は、曲は勿論だが大倉先輩のパフォーマンスから目が離せなかった。



数曲披露したのち、それぞれ水分補給とお話を兼ねてのMCタイム。

ファンの子達が名前を呼ぶ声が場内に響く。

各々メンバーはお喋りをしながらファンサービスもしていく。大倉先輩を除いて。


私はというと、大倉先輩をずっと見ている。

水を飲むために少し上を向いた大倉先輩が、2階フロアを眺める。
そして、私のいる辺で視線の動きが止まり、すぐ逸らされる。



大倉先輩には、ライブに来ることは言っていない。
ライブハウスは暗い。1階フロアのお客さんの顔は見てても、2階は見えないだろう。


気づいてない、よね？

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