ドミノ ② (ページ21)

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～中島卓也 side～

なぜか嫌な予感がしてAに電話をかけた。
でも、出なかった。

『(嫌な予感ってなんで当たるんやろ…)』

なんて思っていると声を掛けられた。

｢卓さん、何暗い顔しとるんですか？｣

『なんだ、遥輝か...』

西｢"なんだ"ってなんすか！ひどい！！｣

『お前に構ってる暇ないんやけど』

西｢Aちゃん、ですか？｣

『はぁ。その鋭い勘、もっと野球に活かせたらいいのにな』

西｢余計なお世話ですし、卓さんわかりやすいっすよw｣

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しばらくしてもう一度電話をかけた。

5コール目くらいでやっと繋がった。

『もしもし？A？』

｢.....｣

『なんで泣いてんの？』

｢...どうして、分かるの｣

『なん、その質問。俺の事バカにしとる？w』

少しだけからかいたくなってそう答えた。
するとAは、

｢バカになんか...してない｣

と答えた。

泣いているせいでか上手く話せてないA。
そんな所もかわいい。

『Aが好きやけん、それくらい分かる』

いつもだったら照れて言葉を詰まらせるのに今日は違った。

｢...卓さん、｣

名前を呼ばれた。
きっと何かあったんだろう。

『ん？』

俺は出来るだけ優しく聞き返した。

｢私...慎吾くんに嫌われました｣

中｢へ？｣

意味がよく理解出来なくて間抜けな返事になってしまった。

なんでも慎吾と喧嘩?したらしい。

危機感がないと叱られたこと
部屋へと連れ込まれたこと
もう、近付くなと言われたこと

この3つをAの口から電話越しに述べられた。

それ、慎吾がAに惚れとるってことやん。

危機感がないんじゃなくてなさすぎる。
勇人さんの件だってそうだった。

とりあえず俺はAがどうしたいのか聞いた。
Aは慎吾と"仲直り"したいと言った。

また慎吾の所にAを行かせれば何をされるか分からない。
今回はまだ部屋に連れ込まれるだけで済んだけど、次は手を出されてしまうかもしれない。

『Aは俺だけのやけん。慎吾の所に行ったらいかん。』

なんてカッコ悪くて言える筈もなく、俺はAがしたいようにしといでと伝えた。

Aはまた電話すると言った。
俺は待ってると答えた。

本当は待っていられる程大人じゃない。
今すぐにでも会いに行って慎吾の所に行かんように言いたい。

でもAの考えを、気持ちを優先させたいから言わなかった。

もっと俺に余裕があったらカッコよくいられるんかな...。