Lost Junk!

＊ ページ8

向井｢……｣
mm｢…マスター。どういうつもり｣
ru｢ねぇご主人様ぁ、あの人って、ご主人様が探してた人じゃないのぉ？｣
向井｢…まだ、わからんやん…｣

借宿の一室で給油をしながら大道芸人の3人はそんな会話を交わしている。
ru｢ご主人様、不思議な人だねぇ？｣
mm｢今に始まった事じゃないけど｣
ru｢でも、めめぇ？そんなご主人様の事大好きなんでしょぉ？｣
mm｢あ？今そんな話してねぇだろ｣

黒と白のシンメトリーの瞳をパチクリさせながらそんな軽口を叩き合う2体の機械人形の言葉も聞き流し、向井は物思いに耽けるように外を眺めている。
mm｢…何か気が狂いそうだなこっちが｣
ru｢そうだねぇ。…ねぇご主人様ぁ、ラウ、どうしたらご主人様の事、癒せるぅ？｣
向井｢…2人がおってくれたら俺は充分やで｣

mm｢だったらそのシケたツラ何とかしてくれない？こっちが調子狂う。壊れたらどうしてくれんの｣
向井｢…めめきゅんツンデレやん。ほんまに俺の事大好きやな？｣
mm｢誰もそんな事言ってねぇよ｣
ru｢ラウはご主人様の事大好きだよぉ！｣
向井｢…ラウ〜！！！｣
ru｢ご主人様ぁ〜！！！｣

突如目の前でイチャイチャし出す向井とラウに、めめははぁ、と人間さながらの溜息をつく。
mm(…けど、あの彼)
いや、正確に言うなら｢彼｣を見た時の向井の顔か。
あれは確実に確信を得た顔だった。
mm(…まぁ、マスターが泳がすならそれでいいんだけど)

機械人形は人間なしでは生きていけない。
つまり彼らの想いには従順でいなければいけない。
…何だかんだ言って、自分もマスターに甘いのかもしれないな。
そんな事を機械仕掛けの頭で考えながら、眼前のイチャイチャする1人と1体を横目にめめは本日2度目の溜息をついた。

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