【wrwrd!】魅入る者、魅入られる者【ロボコパロ】

T-02-33-W ページ8

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(T-02-33-W収容室内にて職員××に異常事態発生、職員Aに調査を命じます)


聞き覚えのない識別番号だった。
お世辞にも良いとは言えない頭を捻って何とか思い出したのは、そのアブノーマリティが昨日夕方に搬入されたものであることくらいだった。
搬入直後に1日の作業が終わったため、実質管理は今日から……というか初回作業で機嫌を損ねるとは職員××も運が無い。


『T-02-33-Wは飼い犬と思しきチワワの姿をしたアブノーマリティである』


先日相手をした永遠の書架はその後何も無いまま、非常に少量ずつエネルギーを産出しているらしい。
私が観測をしている最中に一瞬膨大な量のエネルギーを産出したらしいが、観測中のカメラに何らかの干渉が入っていて理由は不明のままだ。
施設内から本が凄い勢いで消えているが、それを上回るペースで本が入ってきているためしばらくは困窮しなさそうである。


『彼の首輪から伸びるリードを握る人間はいない』


T-02-33-Wに思考を戻す。収容室内での異常事態、ということは目に見える形で職員××の死は観測されていない。
アブノーマリティに飲み込まれて生死不明の際にも同じ内容が流れるので何とも言えないが、どんな状況であったとしても無事に済むことは無い。


『彼は保護時に飼い主を連れていたが、搬入時にチワワの機嫌を損ねたのか首元を齧られて息絶えていた』


飼い主というワードが気になる。
本体はチワワだが、飼い主は本当の飼い主ではないのかもしれない。
魅了されたか狂気に陥ったか、いずれにせよ犬というファクターがある以上リードに触れることはトリガーになりかねない。


『このチワワは非常に騒がしく、飼い主の口を借りて一部女性に対して侮辱的な言動を取ることもある』


侮辱的な言動と書いてはいるものの、それは非常に本能的な男性の欲求を叫ぶものだった。
チワワの姿で風俗を望むとはとんだイロモノだな。
それよりも飼い主の口を借りるとは一体何なのか。
魅力や狂気を上げたが、同化や憑依に近いタイプかもしれない。

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