【wrwrd!】魅入る者、魅入られる者【ロボコパロ】

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｢ティファレト、観測に使用するので数冊拝借します｣
｢あら職員A。もちろん構わないけれど、今度中央本部の仕事を手伝って欲しいわ。
本当に身体がいくつあっても足りないんだから！｣
｢忙しいうちが華ですよ。……ではまた｣


中層セフィラであるティファレト……ティファレトAと遭遇したため簡単なやり取りをする。
ティファレトBの状況を知っている私からすると、身体がいくつあっても足りないという発言にはヒヤリとするものがある。
そもそも認知フィルタの掛かりが悪いので、元気に走り回るロボットと会話していることに違和感しか覚えないのだ。

F-04-39-Zの収容室に戻ると、やはり私が清掃作業の際に持ち込んだ本はどこにもなかった。


｢やあ、君に名前を付けに来たよ。その前に少しばかり実験に付き合ってもらうけどね｣


左手に本を持ったまま本棚の天板を撫でる。
しっかりとした木材からは特有の香ばしい匂いがして、少しほっとする。
側面の彫り物を簡単にスケッチして背面に回り込むが、やはり何てことの無い綺麗な本棚だ。


｢……ん？｣


より詳しく調べるために作業用の白手袋を外して本棚に触れて、それに気がついてしまった。
この本棚、生きているのではないか。
身体を密着させて耳を本棚に押し当てる。
微かにどころではなく温かい、そして何よりどこからともなく鼓動が聞こえるじゃないか！

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