ex7 ページ21
バルコニーに出た2人を国民の歓声が出迎えた。その後ろから幹部が各々並び、正式に2人の成婚を発表するのだ。とはいえ既に周知の事実であるし、彼らは手を振ってブーケトスをするだけで何もしない。俺たちに至っては時間まで立っているだけだ。
｢元気で何よりやなぁ｣
｢だから大先生は何キャラなんや｣
バルコニーの手摺に身体を預けて少しでも多くの人に手を振ろうとするフィーナと、危ないから止めさせようとするグルッペンの間でまた少し言い合いが起きている。しおらしく穏やかに笑う2人が悪い訳では無いが、こうでなくては、とも思う。
決着が着いたのか少し後ろに下がるフィーナ。用意されたブーケは全部で6個。同じものは城下で売られているため、プレミアも何も無く争いにも発展しない。各方角に投げて、最後のひとつになった。重たそうなドレスを着ているにも関わらずよく動けるものだ。
｢____！｣
最後のひとつを抱えたフィーナが勢いよく振り向いて、長いドレスの裾を器用に捌いて歩み寄ってくる。何でこの場面で俺の名前が呼ばれるのか。
｢これは貴方に｣
戦場で散々血に濡れた両手で受け取るのは気が引けるほど、美しい花束だった。白を基調として黄色やオレンジの明るい色の花が目立つ中に、一つだけ異物を見つける。
｢ずっと待たせてごめんなさい｣
それはメッセージカードだった。俺のパーソナルカラーの紙が使われていて、裏面には見覚えのない筆跡でとある地域の名前が書かれていた。これはつまり、そういう。
｢あの人も待ってるから｣
外聞も何もかもかなぐり捨てて自室に駆けもどる。途中すれ違ったメイドに花束の処理を頼めば、怪訝な顔をしながらも引き受けてくれた。慌てて旅装を整えるとなりふり構わず婚礼に伴う祭りに沸く城を飛び出した。
メッセージカードの色は________________
黄緑色。
紫色。
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旱(プロフ) - 占いツクールでまさかこんな素敵な作品に出会えるとは思いませんでした…話もちゃんとしていて楽しく読ませていただきました。魅入る者を作った作者さんと同一人物だったとは…素直に高評価です。 (2019年7月24日 12時) (
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作者名：志摩 | 作成日時：2019年5月26日 19時
