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城の南側から街を見下ろして、やや右側に位置する何の変哲もない教会。いけ好かない魔女が潜んでいるはずの教会が突如瓦礫と化したのはほんの一瞬の出来事だった。スコープ越しに見た教会は跡形も無く、強いて言うなら十字架の残骸は確認出来た。逆に言うなら、それ以外の魔女の痕跡は確認出来なかった。どこから情報が漏れたのかもどこから狙われたのかも分からない、あのいけ好かない魔女がいなければ魔法のことなど何一つ分からないことがもどかしい。
｢動かないで｣
背後から聞き慣れない女性の声がすると同時に、自分の身体が何かに拘束されていることに気がついた。意志を持つかのように動き回るそれは金属質な光沢を備えており、何の変哲もない針金のように見えた。
｢どうも初めましておねーさん｣
｢この国のトップはどこにいるのかしら｣
幹部である俺だけ軍服の色が違うことが分かっているのか何なのか、部下が完全に封じ込められている中で俺だけにある程度の自由が許されている。後ろを振り向けば比較的厚着をした女性が3人並んでおり、嫌な予感が的中してしまったことを確信する。
｢……北の陣営なんて端から無かったんか｣
｢どこ｣
この場だけ見れば彼女たちの圧倒的有利だ。だというのにここまで性急にグルちゃんを求める理由は何だろうか。単純に考えれば寝返るための手土産として。穿ってみるなら南北統合軍が一枚岩ではなく、競走しているから。希望的観測を述べるなら、魔女の介入を恐れているから。
｢早く言いなさい！首を跳ねるわよ！｣
剣を抜いた魔女。いけ好かない魔女もそうだったが、魔法なんて武器を振りかざしておきながら物理武器を持つのは何なんだ。
｢北の魔女は死んだ！もはやお前達が生きながらえること、など……｣
ああ、本当にいけ好かなくて気に入らない。ただまあ、Aが簡単に死ぬような甘ったれた女じゃないことだけは信用しているのだ。
｢最高に短絡的で直接的で効率的な言語は暴力だと思うんや｣
｢全くだ。何しろそれ一つで全ての言語が不要になる｣
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旱(プロフ) - 占いツクールでまさかこんな素敵な作品に出会えるとは思いませんでした…話もちゃんとしていて楽しく読ませていただきました。魅入る者を作った作者さんと同一人物だったとは…素直に高評価です。 (2019年7月24日 12時) (
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作者名：志摩 | 作成日時：2019年5月26日 19時
