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｢……朝日が｣
山の影から顔を出した眩い朝日が不気味な赤を押し流して、いつもと変わらない朝の訪れを告げる。これが暁の果てか。今までの不気味さも相まって、確かに世界が浄化されていくように見える人がいるかもしれない。
｢大先生！ゾムさん……ショッピくんっ！｣
城内から続く扉を派手に押し開けて現れたのは数時間前に目を覚ましたフィーだった。肩で息をするその後ろから泡を食って追いかけてきたグルッぺンも現れる。
｢フィー！ホンマに目ェ覚ましたんやな！｣
｢お蔭さまでね！……で｣
彼女の護身用の銃を選ぶ際、俺たちとは何もかもが違う小さな体を考慮して小ぶりなリボルバーを渡したことを思い出した。その銃口が、今何故Aに向いているのか。
｢フィー！？｣
｢フィーナ、アイツは違って……｣
｢何が違うの｣
ピシャリと拒絶に似た声色で、フィーナは説得を遮った。真っ直ぐAに向かったままの銃口は僅かに震えていて、それでも構えをやめない。
｢何が違うの……自分勝手に都合のいいように人を動かしておいて、もしかしたら、死んでいたかもしれないのに、全部、自分一人で｣
Aは何も言わないまま、支離滅裂なフィーナの叱責を聞いていた。
｢いい加減、ちょっとはやり返さなきゃ気が済まないのよ！！｣
駄々をこねる子どもそのもののような喚きだった。ほんの半年くらいの付き合いの俺たちでさえかなり振り回されていたのだ、もっと長い期間一緒にいたフィーナが鬱憤を溜め込んでいてもおかしくない。
｢……言い返しなさいよ！！｣
あまりにもAが静かではないか。振り返って確認すれば意識を失ったりしているわけでもなく、ただただ怪訝そうな顔をしている。
｢……なぁA、お前、まさか｣
何か思い当たったのか引きつった顔でAに声をかける大先生。
｢…………記憶は雪山の中に、雪解けは川に｣
怪訝そうな顔から一転して愉快そうに笑った、最後の優しい魔女はそれだけ言い残すと虚空に消えてしまった。忽然と姿を消した魔女は使っていた部屋も綺麗に引き上げており、正真正銘去り際の言葉しか手がかりを残していない。
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旱(プロフ) - 占いツクールでまさかこんな素敵な作品に出会えるとは思いませんでした…話もちゃんとしていて楽しく読ませていただきました。魅入る者を作った作者さんと同一人物だったとは…素直に高評価です。 (2019年7月24日 12時) (
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作者名：志摩 | 作成日時：2019年5月26日 19時
