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何も言わない私に、しびれを切らしたようにため息。
『なぁ俺の事ばかにしてる？』
「え？」
『海人とテキトーにつるんで、真剣に恋愛してるやつのこと笑ってんの？』
「そんなこと、」
『今のA、海人とすげーお似合いだよ』
吐き捨てるようにそう言ってから、玄関に向かっていった。
ミカさんとのことは誤解だ。でも。
海斗は何も間違ったことは言っていない。
うみと付き合っているわけでもないのに、いい加減に体の関係を持ったのは私だ。
好意を利用して曖昧な態度を取って、本当に好きな人と真剣に向き合おうともしない。
結局、ミカ先輩と同じことしてるじゃん。
自業自得なのに、ぼろぼろと涙が止まらないのが悔しかった。
扉を開けようとしている海斗の片腕を掴む。
『…なに』
「私、海斗のこと笑ってるつもりなんてない。でもミカ先輩と海斗のこと、無意識に傷つけていたんだとしたら…本当にごめんなさい」
嗚咽が混じって上手く話せない。
「私たち、ただの幼馴染だから」
『…』
「これ以上、口出しなんてしない」
素直な気持ちだった。
海斗が誰と恋に落ちたとしても。
隣に居られない方が、何倍も辛くて。
…生きている意味でさえ。
「海斗に何があっても、私は絶対に味方だから。それだけは覚えておいて」
言い終わる前に、腕を振りほどかれて扉が閉まった。
そのまま崩れ落ちて、座り込む。
泣きすぎて、頭が痛くなってきた。
本当に海斗の言う通り。
気が付けばもう。
今の私は、海斗の隣よりうみの隣の方が似合うようになってしまった。
いつのまにかスニーカーよりヒールのあるものを履くように。
黒髪よりも、流行りのヘアカラーとセットを。
この想いは変わらないままなのに。
近かったはずの存在がどんどん遠くなっていく。
何より、私のことを信じてくれなかったことが辛くて、耐えられなかった。
海斗の無邪気な笑顔が見たいだけなのに。
海斗が幸せでいてくれれば他に何もいらないのに。
あわよくば、一緒に幸せになりたいって思ったのがいけなかったのかな。
滲んだ視界のまま、玄関に飾られている写真を眺めた。
小学生の頃の写真。
泣き顔の海斗の隣で、笑顔の私。
それでも強く握りしめている手。
離れそうで何度も握りしめてきたその手を。
振り払われてしまったら、もう、どうすることもできない。
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N11(プロフ) - maminaさん» 初めまして、コメントありがとうございます。揺らぎからですか！引き続き読んでくださっているようで、感謝しかありません。こちらの不手際でご迷惑をお掛けいたしました！公開しましたので是非ご覧ください。 (2021年3月7日 22時) (
レス) id: f61069127a (このIDを非表示/違反報告)
N11(プロフ) - あさん» 初めまして、コメントありがとうございます。こちらの不手際でご迷惑をお掛けいたしました！公開しましたので是非ご覧ください。 (2021年3月7日 22時) (レス) id: f61069127a (このIDを非表示/違反報告)
N11(プロフ) - キさん» 初めまして、コメントありがとうございます。泣きそうになりながらなんて…！とても嬉しいです。こちらの不手際でご迷惑をお掛けいたしました。公開しましたので是非ご覧ください。 (2021年3月7日 22時) (レス) id: f61069127a (このIDを非表示/違反報告)
mamina(プロフ) - 初めまして。揺らぎから大好きでLost&Foundも毎回楽しみに読んでました。#2に続いてまつくのダークサイドみれるのかと思ってドキドキです！宜しければパスワードを教えて頂きたいです。宜しくお願いします。 (2021年3月7日 21時) (レス) id: 9fd2043a8e (このIDを非表示/違反報告)
あ - 初めまして！最近からLost & Found読ませていただいています！よろしかったら#2のパスワードを教えて頂きたいです。 (2021年3月7日 20時) (レス) id: 89732c56da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N11 | 作成日時：2021年2月12日 0時
