【センラ】星合/Elice ページ20
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「時間も近いし…一仕事始めますかぁ…」
伸びをして、支度を済ませ夜の街へ飛び込む。
愛する君の元に。彼女から届いた手紙を持って。
「よっと……」
待たせていた馬車に乗り込んで、街をどんどん進む
見慣れている景色が、見慣れへん景色に変わっていって。
都会の街並みがどんどん消えていく。。
「にしても、センラもようやるわ。」
「当たり前やろ…好きな女の為なんやから。」
「へいへい。」
相方の運転する馬車に乗り、彼女…Aへの想いを馳せる。
俺と彼女は、いわゆる幼馴染で。幼いころからずっと一緒におった。
…ずっと一緒といっても、身分は天地の差で。
俺は、彼女の親に仕えている執事の息子。
Aはこの土地を管理している伯爵様の娘。
俺らがどんなに仲良くても、両想いでも……叶うことのない恋やった。
「んで、そのお嬢様とは何年も会ってないんか?」
「あー…会える時は1か月に1回会えるんやけど、あっちも夜会に連れまわされとるらしくって。」
「まぁ、センラと同い年ならお年頃やもんなぁ。」
執事の息子は執事やないんかって話やけど…いや、執事しとるけど。
Aの、ではなく俺が今仕えているのはこの隣の領地を治めているうらたん…うらた侯爵。
彼女に仕えるって道がないわけではなかったんやけど……気持ちがばれていたのか
俺の見た目のせいか。彼女の親と仲良くできそうになかったから、辞めた。
運転している志麻君も一緒にうらたんに仕えている、あともう1人坂田という護衛がいて
俺ら4人でずっと一緒にいる感じやな……今日彼女への約束の手紙も
面白がったうらたんから彼女に渡ったわけで…ホンマ、俺らの主人には感謝しかない。
「ん、そろそろつくで。」
「…マジか。」
「何や、緊張しとるん?」
「そりゃ、会うの半年ぶりやからな。」
彼女に送った手紙には、今夜ココで会いたい。待っているからという意味を込めて
星合の夜、幼いころの秘密の場所でお待ちしています。
そう書いておいた。ちょっとカッコつけたかったんや……
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