【水面下の戦争物語-第二部】設定集

＊ ページ9

【生い立ち】
　出身は純血一族、加えて過激な純血主義として有名なデュランド家。家族構成は書類上、父は現当主、母はその妻となっている。11歳の年が離れた兄がひとり。
　アクセルは純血一族の中に生まれた「混血」である。それは、アクセルの実の父親がデュランド家の男性ではないことを指した。代々黒髪の一家で金髪を持つことが何よりの証拠だった。
　激しい純血主義の父親はもちろん、その腹から産んだはずの母も、アクセルを強く忌み嫌った。アクセルは7歳まで家の地下で、折檻を受けて育った。その激しさは、彼のマフラーの下にある傷が物語っている。

　7歳の時、アクセルは初めて兄の顔を見る事になる。アクセルの現状を知った兄は、アクセルを家から連れ出し、両親から守った。
　アクセルは兄が憎かった。親に殴られたことが、冷水に沈められたことが、背中を炎で炙られたことがない男に、自分の痛みがわかるはずがない。自分の孤独を癒せるはずがない。アクセルが欲しかったのは守ってくれる人ではなく、一緒に殴られてくれる人だった。

　その後アクセルはオ・コニキュラタ魔法魔術学校に入学し、ヴァーナイツ寮生として生活した。生活態度は教員の前では至って真面目で大人しく、裏では友人たちに合わせて適度に悪く。顔は広く、先輩後輩関わらず友人は多かった。どれも長く続かなかったが、数人の恋人もできた。
　それでもアクセルは孤独なままだった。アクセルの痛みを分かち合ってくれる人は、一緒に殴られてくれる人は見つからなかった。アクセルは絶望した。
　アクセルは「卒業したら死ぬ」と決めていたが、いざ卒業しても、踏み切ることができなかった。

　彼は18年で終わるはずだった人生を延長することにした。希望を持つだけ無駄だと思った。誰かと生きる為に時間を割くのは無意味だと思った。だから彼は目標を持たない。だから彼は頑張れない。だから彼は、生きるのが辛い。

【人間界・非魔法族をどう思うか】
　学生時代は興味本位、正直に言えば授業で寝てもバレなさそうという理由で人間界学を専攻したが、あまりの内容に「もしかして非魔法族ってとんでもないバカなんじゃね？」と思う始末。授業中、耐えきれず大笑いしてしまったのは、そう昔の話でもない。
　しかしその一方で「魔法とか血族とか関係ないなんて、お気楽なヤツら」と羨ましがっている一面もある。だからといって人間界に行くようなこともできないようだが。

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す