21 夜道 ページ21
すぎるさんから逃げるように去った後私はいつも通り職場に向かって仕事をこなした。その日はたまたま残業が長引いてしまって、久々に終電に近い電車に乗って帰路に着いた。すぎるさんのせいでは無いが、元彼からの着信が仕事中も鳴り止まないこともあり、気が沈んでいた。けれど明日からも仕事はしなきゃいけないし、いつまでも元彼のことなんか考えてられない、そう思った時だった。
「……A？」
「…え？」
「…A！Aだ！…探した…、なにしてるの？家に帰ろう？」
暗い帰り道の中で私の声を呼ぶ方へ振り返ると、元彼が立っており、私の名前を何度も読んでは私に近づいてきた。
「…ごめん、もうあの家に帰るつもりはないよ…」
「なんで？俺たちまだ付き合ってるでしょ？家賃だって一緒に払ってたんだから、一人だけ引っ越すなんてなしだよ」
「…」
やっぱり、あなたが言うのは家賃とかお金の問題ばかり、そう思って心底呆れた。
「別に、あの日家を出たのはあの日だけが原因じゃ無いよ、前からあの家に私以外の女の人が出入りしてたの、ずっと知ってたよ、でも黙ってた。けどもうケジメついてるからあの家に帰ることもあなたと付き合うこともできない。」
「…ごめん、謝るから、もうA以外の人を入れたりしない」
「もう遅いよ。私には新しい家があるの。」
彼は謝りながらもヘラヘラした表情を変えず私に近づいてくるので、不信感を覚えた私は彼が近くに連れて後退りをするように距離をとる。
「…かしいだろ」
「…え？」
「一人で出てって、家賃も払わず、電話も出ないで、帰らないとかおかしいんじゃないの？」
「った…痛い！」
念のために取っていた距離を彼がぐんと縮めて私の肩を掴んでは指に力を入れ痛みが走った。
「昔からそう…俺はお前のことを考えてやってんだよ！家賃の高い家を借りたことも、何もわかってない！何がしたいんだよお前は！！」
そう怒鳴った彼は私のことを突き倒し、地面に尻餅をつくと聞き覚えのある声がした。
「Aちゃん！！！」
「え…？」
元彼の強迫に涙目になった私の前に現れたのは、すぎるさんだった。
「…おにーさん、ええ加減にしといたほうがええんちゃう？これ以上やるって言うなら警察呼ぶで？」
「…ッチ」
倒れた私に寄り添ってくれすぎるさんに安心のせいか涙が自然に溢れながら、すぎるさんは元彼に向かって聞いたことのない低い声で話をすると、元彼は舌打ちをして去っていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 160人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
lllsaitoulll(プロフ) - かびさん» ありがとうございます！ペース遅めですがよけえば楽しんでいってください！ (2020年6月9日 1時) (
レス) id: 9c4d7f9ca9 (このIDを非表示/違反報告)
かび - 楽しませて貰ってます！更新待ってまーす！ (2020年6月8日 12時) (レス) id: a6577ee058 (このIDを非表示/違反報告)
lllsaitoulll(プロフ) - キアンさん» コメントありがとうございます(^O^)がんばります！ (2020年6月6日 1時) (レス) id: 9c4d7f9ca9 (このIDを非表示/違反報告)
キアン(プロフ) - おわ〜展開が気になります！更新頑張ってください！ヾ(≧∀≦*)ﾉ〃 (2020年6月5日 7時) (レス) id: dc2584af8a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：斉藤 | 作成日時：2020年6月2日 1時
