2 深夜 ページ2
「どうしよう…」
怒りに任せて荷物をまとめて家を出たものの、こんな唐突に友人の家に押しかけるのも迷惑になってしまうし、就職して間もない同期達でそんなに親しい人間も居ないわけで…。ホテルでも取るか、でもお金もそんなに余裕があるわけでもないし…と悩んでいるところで、忘れていた頃に腹痛が再発してきて、駅の改札の近くにあるベンチでつい座り込んでお腹を抱えてしまう。
「う〜…。」
家から歩いて数分しかかからない駅で、彼が追ってこないなんて、予想はしていたけどやっぱりもう冷めてたのかなあ、と思考が巡ってしまって我慢した涙が一気に溢れてくる、こんなときでもきちんと悲しいんだなあ…。
「あ、あの…大丈夫ですか…？」
「…え…？」
彼とは全く違う低い声の人物に声をかけられ、顔をあげる。
「ｴ!?な、泣いてるじゃないっすか…ｳﾜｰ…どうしよ…」
そこにはラフなスーツを着こなした社会人らしい男性が心配そうに私を見ていた。
「すみません！全然大丈夫なので…気にしないでください…」
「そう言われましても…。こんな時間に…スーツケース持って泣くって…」
「…ちょっと宿がなくって…」
「ｴｰｯﾄ…出張かなにかですか…？」
「…そうです、予約していたホテルを間違えてしまって」
社会人にもなって彼氏と揉めて家を出るなんて、恥ずかしくて言えなくて咄嗟に嘘をついてしまう。
「…ｱﾉ、よかったらなんですけど、よく利用しているホテルを知っていて紹介しましょうか…？」
そういって男性はスマホで調べてくれたホテルのサイトを私に向けて「女性専用のエリアが多いので、女性も安心して使えるかもです」なんて付け加えて、私のことを今だに心配そうに見つめてくる。
「じゃ、じゃあそこにします！すみません…。」
「！、ﾖｶｯﾀ！駅の東口から15分くらい歩くんですけど大丈夫ですか？」
見ず知らずの泣いてる私を助けたのがそんなに嬉しいのかって思うほど可愛らしく喜ぶ男性が、なんだか可愛く感じてしまう。同棲してた家は真逆の西口方面だし、明日の朝にチェックアウトをして新しい家を探しに不動産にでも向かえば、彼氏と鉢合わせることなどもないと考えて「大丈夫です」と返事をする。
「じゃあ向かいましょう。」
そう言ってものすごく自然に私が持っていたスーツケースや手荷物を持ち上げ歩き出した。
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lllsaitoulll(プロフ) - かびさん» ありがとうございます！ペース遅めですがよけえば楽しんでいってください！ (2020年6月9日 1時) (
レス) id: 9c4d7f9ca9 (このIDを非表示/違反報告)
かび - 楽しませて貰ってます！更新待ってまーす！ (2020年6月8日 12時) (レス) id: a6577ee058 (このIDを非表示/違反報告)
lllsaitoulll(プロフ) - キアンさん» コメントありがとうございます(^O^)がんばります！ (2020年6月6日 1時) (レス) id: 9c4d7f9ca9 (このIDを非表示/違反報告)
キアン(プロフ) - おわ〜展開が気になります！更新頑張ってください！ヾ(≧∀≦*)ﾉ〃 (2020年6月5日 7時) (レス) id: dc2584af8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：斉藤 | 作成日時：2020年6月2日 1時
