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伍拾 ページ9

ガラリ、と俺は屋敷の戸を横へ引く。

右手にはA様から貰った短刀。黒い面布越しに呪霊の気配を探って進む。





「ぅなが、とんじ、じゃぁ、たま、しぃもと、、とんじゃぁあ゛!!」

「うわぁぁっぶな!!!」



廊下の曲がり角から飛び出した呪霊を、俺は紙一重で避ける。



「き、ききききさまもとも、ともにと、とぼぉ!!!」



迫ってくる呪霊を身を翻して避け、横を通った呪霊に呪具を思い切り刺した。



「ぃいいだぁい!!!!いだ、いだ、とんじゃゃ!!!!」

「五月蝿いなァッ!!!」



半ばどうにでもなれ、と思いながら呪霊に飛び掛る。

数秒後、呪霊はパタリと息絶え、消えた。それに安堵し、俺は小さく息をつく。

刹那、背筋にぞわりと悪寒が走った。いる。俺の後ろに、何かがいる。


__この呪霊は俺より強い、きっと「乙」だ、不味い。





「縺ゅ?縺ッ縺ッ縺ッ縺ッ縺ッ」

「ッ!!!!」


振り返ると同時に吹き飛ばされ、壁を突き破り屋敷の庭へ放り出される。

地面へ思い切り頭をぶつけ、ダラりと顔に血が垂れた。



「げホッ、ゴホッ…ッ、」

「驕翫⊂縺???♀縺シ縺???ヲャ鮖ソ縺ェ蟄蝉セ」

「気持ち悪ィ…___アレ?!」


自分の手元を見れば、A様から貰った呪具が見当たらない。痛む腹を抑えながら、周りを見回す。その目当ての物は、さっきまでいた廊下にぽつりと落ちていた。

え、嘘だろ、と青ざめる。どうしよう、どうしよう!!

そう考えている間にも、呪霊はこちらへ進む足を止めない。


死ぬ。


そう直感した俺は、自然と面布に手を伸ばした。これを使えば、確実に祓え__






『外すな』





凛とした声が耳に入ると同時に、呪霊は一瞬で祓われる。


「A、、様………」


A様の美しい銀糸の髪が視界に入る。俺はその姿に大きく安堵し、そのまま意識を手放した。



・・・


『あれ?死んだ?』


呪霊を祓った後椿の元へ行けば、パタリと地面に倒れている。頭からは血がダクダクと流れ出し、黒い面布をより黒く染めていた。


『…気を失ってるだけか』


椿に反転術式を施し残りの呪霊を祓えば、帳が空から消えていく。この屋敷には乙以上の呪霊もいた。ソイツに出くわさなかっただけ御の字だろう。



『下見した時は丙ばっかだったんだがなぁ……』



数段上の呪霊が蔓延っていたのは、単に戦が多い所為だろう。

平和な世の中になってほしいものだ。そんなことを考えながら、帰りに買う酒に想いを馳せた。

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設定タグ:呪術廻戦 , 愛され(?) , 見切り発車   
作品ジャンル:ファンタジー
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うさちゃん(プロフ) - ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"好きです!だいすこ。続き楽しみに待ってます (3月27日 11時) (レス) @page42 id: bdc57886de (このIDを非表示/違反報告)
ファナやん - おもしろいです!可能なら原作軸や懐玉編もみたいです! (9月10日 15時) (レス) id: 3812986166 (このIDを非表示/違反報告)
りんか(プロフ) - 面白すぎて何回も見返してます!更新再開してほしいです…頑張ってください!! (8月7日 14時) (レス) @page42 id: d3fb5e7475 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - コメント失礼します!私愛され大好物なので嬉しいです!呪術廻戦のキャラ全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってください! (6月24日 10時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
有栖 - めっちゃ面白いです。更新頑張ってください。(*≧∀≦*) (2023年2月5日 15時) (レス) id: e77b6774d0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蝋燭 | 作成日時:2021年10月1日 23時

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