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わたしの一挙一動を、レオナさまが目で追っていることがわかる。
彼のその視線が、今は痛くて痛くて堪らなかった。
「わたしが、耐えられないんです。…あなたが傷つくことが」
「……俺が？」
意外だとでも言いたげにレオナさまが言って、その声音に思わず笑ってしまった。
と言っても、わたしの顔は今にも泣きそうな情けないものだろうけれど。
「レオナさまが、わたしが傷付くことが嫌と言うなら、わたしだってレオナさまが傷付くなんて耐えられません。実際、あなたは上手く災を逃れることはできるかもしれない。それでも、あなたが危険に晒されて、敵意や悪意を向けられるなんて…『不公平』です。わたしが嫌なんです」
自分がとんでもない事を言っているのはわかっている。
従者が主人を慕う気持ち、それ以上のものを持ち合わせてしまった結果だ。
でも、それでも、この人が傷付く可能性をわたしは少しでも無くしたかった。
少し目を見開いて、わたしの言葉を黙って聞くレオナさまの目を、わたしも見返す。
あぁ、やっぱり、とても綺麗だ。
図書室で初めて会った時も、この人のエメラルドの瞳に魅せられたことを鮮明に覚えている。
普段は、余計なことはあまり語らないような人だけれど、この瞳は案外多くの感情を宿す。それもレオナさまの侍女にならなきゃ知り得なかった。
「わたし、決めました」
わたしの声は、自分でも分かるほどに今にも泣きそうな声音で、心底情けないと思う。
それでも、伝えなければいけない。
「これ以上、レオナさまが傷付くようなことがあるなら…わたしはあなたの元を離れざるを得ません」
その言葉を紡いだ唇が、震えていた。
それは恐怖からか、不安からか、はたまた悲しみからかは分からない。
でも確かに、その一言でわたしは支えを失ったみたいに不安定になった。
「は？」
信じられないとでも言うように、レオナさまが眉間にシワを寄せる。
彼の声は、地の底から響いてくるほどの重さと低さを伴っていた。
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麗奈 - とても読んでいて、キュンキュンしました。レオナさんの優しさや独占欲嫉妬心、なにより溢れんばかりの愛情。これがとても伝わってきて、読み終わったとき、どうかこの二人が幸せになりますようにと、心から思わせてくれるような作品でした。 (2023年4月1日 19時) (
レス) @page34 id: 1d0df350f7 (このIDを非表示/違反報告)
candy - コメント失礼致します。ご作品拝見させていただきました！夢主とレオナの関係性を含んだ上でもどかしさだったり切なさだったり、でも甘かったりとても見ていて面白いなぁと思いました！それに何よりるり様の描く描写や世界観があまりに素敵で見入ってしまいました！ (2023年1月2日 2時) (レス) @page34 id: 3ec148aec7 (このIDを非表示/違反報告)
津城瑠生(プロフ) - コメント失礼します。文章の書き方が想像しやすくてすんなりと物語の世界に入っていきました。レオナさんの悲願と言ったらいいんでしょうか…、それが叶っていく過程がとても好きです。素敵なお話をありがとうございました。 (2022年11月21日 8時) (レス) id: 90b7e5739a (このIDを非表示/違反報告)
明理(プロフ) - 面白くてつい一気読みしてしまいました…！何度「ん"ｯ」ってなったことか…！！！久しぶりに満足できる甘々小説を読めました！ありがとうございました！！ (2022年5月31日 21時) (レス) @page34 id: 0be17a4bd3 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - もさん» もさんありがとうございます！こちらこそ最後まで読んでくださりありがとうございました！ (2022年1月22日 19時) (レス) id: 8e93effa05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るり | 作成日時：2020年8月2日 17時
