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言われた言葉が自分の中で溶けて、その甘さが全身に広がっていく。
その甘さがもっとほしくて、レオナさまの服の裾をきゅっと握りしめて、言った。
「もっと、言ってください…」
わたしだって人間だ、欲深くても仕方ないじゃないか、と言い訳を心の中で口にした。
「我儘なお嬢様だな」
「ダメですか？」
「いいや。俺にはそれくらいがちょうど良い」
笑った彼がそう言って、腰に回った腕に力が込められた。
「ぅ、わ」
刹那、身体が急に宙に浮いて思わず声を上げる。
膝の裏にレオナさまの手が回っていることに気付いて、横抱きにされたことがわかった。
ぐらりと体のバランスを崩しそうになって、慌てて彼の身体に抱きつけば、口角を上げたレオナさまから、
「自分から抱きつくなんて、随分と大胆だな？」
とのお言葉。
「誰のせいだと…！」
「あぁ、わかってる」
いつもの調子で揶揄うように、それでいてわたしに触れる手つきはひどく優しい彼が、そっとわたしの体を下ろす。
背中に感じたのは、柔らかい感触。
「＿＿全部、俺のせいだ」
そう、全くその通り。なんだけれど。
ベッドの上で、わたしに覆いかぶさりながらそんなこと言われたら、洒落にならないじゃないか。
彼が纏った色香のせいで直視することなんてもちろん出来なくて、声を聞くだけでくらくらしそう。
「ほら、顔上げろ」
「む、無理…」
「好きだ」
わたしの言葉を聞かずに耳元で囁かれた言葉に、ぴるぴると耳が反応してしまう。
彼の声を聞くだけで、尻尾に力が入らなくなって、心臓がきゅうっと音を立てる。
吐息でキスをされるような距離感に、これまでにないくらい緊張している。
静かに顔を上げると、レオナさまがふっと笑った声が聞こえた。
彼の翡翠の瞳が、わたしを捉えている。
レオナさまの手が、そっとわたしの頬に添えられた。
それにスルリと頬を撫でられて、彼の体温に肩の力が抜ける。
目を細めた彼と、引かれ合うように顔が近づく。
鼻先を、ムスクが掠めた。
音は無く、わたしの煩い心臓でさえ、その時は鳴りを潜めていた。
そのまま目を閉じれば、わたしに残された感覚は、肌に触れる体温だけ。
彼の少し長い前髪が、まぶたに触れる。
唇に、自分のものじゃない、でも確かにそこにある体温が、触れた。
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麗奈 - とても読んでいて、キュンキュンしました。レオナさんの優しさや独占欲嫉妬心、なにより溢れんばかりの愛情。これがとても伝わってきて、読み終わったとき、どうかこの二人が幸せになりますようにと、心から思わせてくれるような作品でした。 (2023年4月1日 19時) (
レス) @page34 id: 1d0df350f7 (このIDを非表示/違反報告)
candy - コメント失礼致します。ご作品拝見させていただきました！夢主とレオナの関係性を含んだ上でもどかしさだったり切なさだったり、でも甘かったりとても見ていて面白いなぁと思いました！それに何よりるり様の描く描写や世界観があまりに素敵で見入ってしまいました！ (2023年1月2日 2時) (レス) @page34 id: 3ec148aec7 (このIDを非表示/違反報告)
津城瑠生(プロフ) - コメント失礼します。文章の書き方が想像しやすくてすんなりと物語の世界に入っていきました。レオナさんの悲願と言ったらいいんでしょうか…、それが叶っていく過程がとても好きです。素敵なお話をありがとうございました。 (2022年11月21日 8時) (レス) id: 90b7e5739a (このIDを非表示/違反報告)
明理(プロフ) - 面白くてつい一気読みしてしまいました…！何度「ん"ｯ」ってなったことか…！！！久しぶりに満足できる甘々小説を読めました！ありがとうございました！！ (2022年5月31日 21時) (レス) @page34 id: 0be17a4bd3 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - もさん» もさんありがとうございます！こちらこそ最後まで読んでくださりありがとうございました！ (2022年1月22日 19時) (レス) id: 8e93effa05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るり | 作成日時：2020年8月2日 17時
