転校生は婚約者でした 【桃】

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花楠 A、ただいま学校の王子と呼ばれる桃澤 さとみくんと二人っきりで掃除中！





だけど……










…………。










何この沈黙は……!?





めちゃくちゃ気まずいんですけど……！










この地獄の空気に耐えられず早く帰りたいと思っていると










さとみ「A、何で保健室こないの？」










桃澤くんそう聞いてきた。










『……。』










勝手に気を遣って行けなかったことはなんとなく言いたくなかった。





そして、気付かないふりしてたけど心のどこかで、何も気にせずに桃澤くんと話せる女子に嫉妬していた。










さとみ「俺と会うのが恥ずかしくなったの？」










『!?……そ、それは違う！





ただ、一人の時間を邪魔したくなかっただけ！
それで桃澤くんに話しかけられる女子たちが少し羨ましかった……





あ……。』










言わないつもりだったのに全部言ってしまった。





支離滅裂な上に告白みたいな言葉を言ってしまい、顔に熱が伝わるのが分かった。










絶対バカにされる……!!!










下を向いて覚悟を決めた。





けど返ってきたのは意外な言葉だった。










さとみ「そう思ってたんだ。





俺嫌われたかなってちょっと落ち込んでたんだ。





良かった。そんな理由で。」










『そんな理由……って私は！……』










そこまで言いかけて顔を上げた。





目の前では桃澤くんは優しい笑顔で私を見ていた。





その温かい目を見て、私は反発することをやめた。










顔整ってるだけで性格悪魔だと思ってたけど、不意に優しさを見せるなんて










『……ズルい。』










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