【テニプリ】聞く耳もたらすーその6【男主】

別れこそ会うの始めーその9 ページ43

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クスクス笑う淳さんの後ろからひょっこり顔を覗かせた柳沢さんが、ドヤ顔で髪を整える。




「合宿が終わってお兄ちゃんの俺に会えなくて寂しがったりするんじゃないだーね！」




「柳沢お兄さん。あー…まぁそういう時のためにお風呂にアヒル浮かべとこうかなとは思います」




「だからアヒルじゃないだーね！」




「まったく、合宿が終わって家族ごっこ出来なくなって…寂しがるのはお前らの方だろ」




くえーっ！とアヒル口で怒る柳沢さんを笑いつつ赤澤さんが顔を覗かせる。

そんな赤澤さんにドリンクを渡しつつ俺はぺこりと頭を下げた。




「赤澤お父さんもありがとうございました！

お父さんはんーと…あ、お母さんと仲睦まじくやってってください！」




「はは、それが許されたらな…」




これが最後の家族ごっこになるのかな、と別れの言葉みたいな会話にしんみりしていると時計のアラームがなって、最後遅れない様にと時計を12時半でセットしたことを思い出した。




「もしかしてアラームセットしてたの？」




「はい、12時半ぴったりに。


……本当に帰っちゃうんですね俺たち」




そう言いながら外を見ると、続々のほかのコートの人達が中へと入っていく姿が見える。
それを見てお別れかぁ、と呟いたら、俺がアラームを止めているスマホを覗き込んでいた淳さんがえっ？と声を上げた。




「何言ってるの、家族なんだからAも一緒に帰るでしょ？」





「いやぁ〜〜そうしたいのはやまやまなんですけども……」




ちらりとまたコートの外へ目をやると、

案の定、赤也先輩の俺を呼ぶ声が聞こえた。

こっちへ向かって来るのが目で確認できるほどまで近づいて来るのを見て、淳さんの方を向いてよよよと泣き真似をする。




「月からのお迎えが…」




「いや、切原君は完全にA取り返しに来た親犬にしか見えないでしょ！」



ゲラゲラ笑って放った淳さんの一言に、赤澤さんと柳沢さんと俺が一斉に吹いた。





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