【テニプリ】聞く耳もたらすーその6【男主】

子供は海へ舟は水ーその31 ページ25

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「越前は先輩達と一緒にいたの？」




「そう。ビーチバレーするって言うから逃げてたらアイツにつかまった。」




「へぇ…ビーチバレー苦手なのか…」




「俺がやりたいのはテニスだけだから」




要するにそんなに得意ではないんだなと含み笑うと「笑うな」とぶっきらぼうな声がかけられる。




「ついたよ。はい、これ」




「おー、ありが……っ、と………おい」




渡されたペットボトルを掴もうとしたら、ひょいとかわされる。


非難の意を込めて「越前、」と名前を呼べば、それだよ、とムッとした顔がこちらを見た。




「アイツの事は名前で呼ぶくせに。」




頬をふくらませてアイツと言った目線の先には、どうやっているんだと突っ込みたくなるような勢いで白石さん達に水をぶっかけている金ちゃんが。


(自分も苗字じゃなくて名前で呼ばれたかったのか。)


そう思うとなんだか顔が綻んでしまって、




「意外と子供じゃん、リョーマ」



とニヤっと笑って言えば、



「ゲームが特技のアンタに言われたくないね、A」



と満足げに返してこちらにペットボトルを放り投げられた。


それを受けとって口をつけると、思いのほかごくごくと飲んでしまって喉が渇いていたんだなと反省した。





「そういえば、青学の先輩達ビーチバレーしてるんだろ？見に行ってみようかな。リョーマも行こうよ」




「いや…行かない方がいいよ」




「？ なんで？」




「…不二先輩が罰ゲームがあった方が楽しいとか言って乾汁持ってきてるから。」




「ん、ん？いぬ……汁…？？」




「うちに伝わる馬鹿みたいに不味いドリンクの事…」




「は、はぁ…？」




「……世の中には知らなくていいことだってあるんだよ、A。」




目を細めてため息をついたリョーマが、帽子のつばをつまんで顔を隠すのを俺は首をかしげて見ていた。





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