子供は海へ舟は水ーその9 ページ3
ー
「ただいま!!!!」
「お疲れ剣太郎。天根さんもお疲れ様です!」
「…今日の剣太郎、容赦なかった…」
「すみません俺が調子乗らせちゃったみたいで…」
「A、俺かっこよかったでしょ!?」
「あー、はいはい。素直に尊敬してる。」
「聞いた皆!?」
「「「「「ああ、やったな剣太郎!!」」」」」
「皆さんハモって親指立てるのやめて下さい!?」
取り敢えず、汗かいて息も上がってる剣太郎にベンチを譲って座らせた。
皆がお話しながら楽しそうに休憩しているなか、タオルを頭からかぶってドリンクを持ったままの剣太郎だけがただ静かに地面を見つめていた。
(…剣太郎?どうしたんだ?)
のぞき込んでみると険しい表情で。
ま、まさかさっきのプレーに納得いってないとか…!?
「部長としてもっと頑張らなきゃ」的なシリアスな悩みか…!?
俺はそう思いながら、おずおずとその肩に手を置いて小声で話しかける。
「け、剣太郎…?大丈夫…?」
「…海だ」
「は?」
「海に行きたい」
突拍子もないその言葉に、周りの皆もしんと静まり返る。
慌てて周りを見渡すと、皆衝撃を受けたというかもはやショックを受けたような表情で剣太郎を見つめていて、俺は冷や汗が流れるのを感じた。
ななな何言ってんの剣太郎。
「これはテニスの練習合宿だぞ、部長としてその甘ったれた発言はなんだ!」とかバネさんに言われるぞお前。
案の定、険しい顔でサエさんがゆっくりと近づいてくる。
剣太郎の前に立ったサエさんは、がしっと力強くその肩を掴んだ。
あ、これは怒鳴られるフラグか…と俺がぎゅっと目を瞑ったら。
「…たしかに、海に行きたい。」
「…は?」
真面目な顔でそう呟いたサエさんに目をぱちくりさせていると、後ろで亮さんがあああ!と唸ったのでぎょっとしてそちらを振り向く。
「そういえば俺たち、夏休みなのに五日も海に入ってない!!!!!」
「や、やべー剣太郎のせいで俺らまで海のことしか考えられなく…!!!」
亮さんに続いてバネさんまでそう叫んで、ほかの部員さんも次々に海が海がと喚き始めた。
そのカオスの中で俺は一人、
「…どういうこと?」
怯えながら縮こまった。
ー
265人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
木こりのコロポ(プロフ) - 第一部隊さん» コメントありがとうございます!本当に合宿編は終盤です…最後まで楽しんで貰えたらなによりです! (2019年1月17日 22時) (レス) id: 2e6823aea8 (このIDを非表示/違反報告)
第一部隊(プロフ) - ルドルフ可愛い...合宿が終わるの寂しいですね。更新頑張って下さい! (2019年1月12日 1時) (レス) id: 8a79432f79 (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - 第一部隊さん» 久々の更新にも関わらず、コメントありがとうございます…!長い間ご迷惑をお掛けしましたが、今日から少しずつ更新できればと思います…! (2019年1月7日 23時) (レス) id: 2e6823aea8 (このIDを非表示/違反報告)
第一部隊(プロフ) - 久しぶりの更新!いつも更新楽しみにしています!これからも頑張って下さい! (2019年1月7日 19時) (レス) id: 8a79432f79 (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - キャラメルさん» お返事が遅れてしまいすみません!コメントありがとうございます!そう言っていただけると書きがいがあります…!これからもよろしくお願いします! (2018年10月8日 17時) (レス) id: 2e6823aea8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:木こりのコロポ | 作成日時:2018年6月11日 21時