【テニプリ】聞く耳もたらすーその6【男主】

子供は海へ舟は水ーその22 ページ16

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ーー海は苦手で、怖くて入ったことがない。




そんな俺の言葉を聞いた瞬間、甲斐さんはぽかんと口を開けた顔を徐々に曇らせていく。


「え、……え？」


きゅっと口がつぐまれて、みるみるうちに眉が八の字になっていく甲斐さんに戸惑いの声を上げていると、反対側の平古場さんも似たような表情をしていることに気づいてぎょっとした。



それからもう一度え、と呟こうとしてハッとした。



何をやっているんだ俺は！？！？！？沖縄が大好きて、沖縄の海が大好きな人に向かって「海は苦手、怖い」だと！？！？
重罪だ。悲しそうな二人の顔を見て唐突に申し訳なさが募る。


二人ともかわいそう！！こんな俺の一言に傷付いた二人がかわいそうだ！！！




「あ、あのでも海が嫌いってわけじゃないですよ！？ほんとに！！」



「「じゅんに？」」



「はい！じゅんに！！」


よく分からないけど本当、というニュアンスであろううちなーぐちを勢いで返す。



「…まぁ、うとぅるさんのはしょうがないやさー」



「え？ああ、はい、そ、そうですね？」



「A、意味わかってねーまま返事しただろ。

裕次郎は「怖いのはしょうがない」ってさ。」



「ああなるほど…」



「まぁ、怖いのはしょうがないよなぁ」



「うっ」



怖い怖いと連呼されて言葉に詰まる。本当に滅相もございません。

入れないこともないけど自分からは入らない、その程度のことではあるけど…と呟いていると、隣から平古場さんがよし、といって立ち上がる。



「ちょっと待ってろ」


「？ わかりました」


短くそう言った平古場さんは何かを思いついたようにたったと走り出してしまって、俺は甲斐さんと一緒に首をかしげた。




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